DHLグループ・マイヤーCEO「米以外の貿易レーン重要性増す」
Daily Cargo 2025年5月8日掲載
DHLグループは2日にドイツ・ボンで開催した2025年度年次総会でのトビアス・マイヤー最高経営責任者(CEO)の発言要旨を同日、発表した。米国の貿易政策については「米国が重要な市場であることは言うまでもない。しかし、世界貿易の大半は米国抜きで行われている。現在、世界貿易の約4分の3は、米国からの輸入でも米国からの輸出でもない。米国が自国をより閉鎖的にすれば、他の国々が恩恵を受けることになる。そうなれば、他のトレードレーンの重要性が増す。われわれは一般的に、米国発着の貿易よりもはるかに大きな市場シェアを有している」と説明した。
年次総会では、昨年9月に発表し、実行している30年に向けた事業戦略についても説明した。同戦略では売上高を23年連結決算の817億ユーロから50%増を目指すほか、成長に向けたイニシアチブとして、▽ライフサイエンスおよびヘルスケア関連?新エネルギー関連▽グローバルネットワークと現地の専門知識を生かした取り組み▽eコマース関連?デジタル販売関連――の5分野で進める。マイヤーCEOは「われわれを取り巻く世界は変化している。これはチャンスを与えてくれる。われわれは主に急成長するセクターと地域に焦点を当てている」と強調。国・地域展開では「急成長している国や地域での存在感を高めたい。こうした国や地域の多くは、例えば、個々の拠点への依存度を下げたいと考える企業から恩恵を受けている。特に、地政学的緊張が高まる時期にはなおさらであり、企業はリスクを分散させることが多い。倉庫や生産拠点を世界中に分散させるということだ。例えば中国だけでなく、東南アジア、インド、東欧、メキシコ、トルコなどにも拠点を設けるものだ」としたうえで、「われわれは最もグローバルなロジスティクス・プロバイダーであるため、このような機会を生かすことができる最適な立場にある。ロジスティクスの全領域をカバーする部門を持っているからだ。また、急成長している国・地域ではすでに大きな市場シェアを持っていることが多い。われわれは30年までシェアを拡大し続けるだろう」とした。
イニシアチブ関連では4月、ライフサイエンス・ヘルスケア分野に今後5年間で20億ユーロを投資すると発表し、投資の50%を米州、また、アジア太平洋地域(APAC)およびEMEA(欧州・中東・アフリカ)にそれぞれ25%を振り分け、グローバルで統合された物流ソリューションを提供する計画だ。新ブランド「DHLヘルスケアロジスティクス」の下に両分野の専門知識を統合し、グローバルでのサプライチェーン管理を簡素化する。マイヤーCEOは「すでに年間約50億ユーロの収益に貢献している。非常に魅力的な利益率だ。30年までに売上高に占める割合を倍増させたい」とした。また、新エネルギー関連でも新ブランド「DHL新エネルギーロジスティクス」を立ち上げ、専門知識を結集したと説明した。
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