物流よろず相談所

安全は健康管理から

2025年9月24日

『物流なんでも相談所』
岩﨑仁志


運送業において最も重要なもの、それは安全です。トラック運送業はドライバーに対して安全を守り抜くために、法定12項目が定められています。

  • トラックを運転する場合の心構え
  • トラックの運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項
  • トラックの構造上の特性
  • 貨物の正しい積載方法
  • 過積載の危険性
  • 危険物を運搬する場合に留意すべき事項
  • 適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況
  • 危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法
  • 運転者の運転適性に応じた安全運転
  • 交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因とこれらへの対処方法
  • 健康管理の重要性
  • 安全性の向上を図るための装置を備えるトラックの適切な運転方法

安全の重要性はドライバーの健康上の要因から事故が発生することも少なくありません。健康起因の事故と健康管理の必要性について今号では考えてみたいと思います。運転者は、疾病が交通事故の直接的な要因となりうることも理解した上で、健康診断やストレスチェックの重要性を認識する必要があります。トラック運転者は、これまでの不規則な業務形態上、生活習慣病を患う人も少なくありませんでした特に心臓病や脳梗塞等による死亡率も高くなっている現状を理解しておく必要があります。業務上、生活は不規則になりがちでも、自ら健康を害さないルーティンをつくることはできるはずです。肥満、生活習慣病、脳や心臓の疾病も、生活習慣に起因したものが多く、自分が気付かないうちに 進行していることもあるー、バランスのとれた食生活とは何なのか考え、まず自分にできることから 取り入れていかねばなりません。

まず脳や心臓の疾病について考えてみたいと思います。居眠り運転が原因と思われる交通事故が運転中の突然死(脳卒中や心臓病)による事故であったケースも増えています。脳卒中や心臓病は、その要因が生活習慣に関係していることから 生活習慣病と呼ばれていますが、自分では気付かぬうちに進行して いる場合が多く、症状があらわれたときにはそれが突然死に至ることも少なくないのです。生活習慣病の要因は、日々における5つの習慣(食生活、運動習慣、休養、飲 酒、喫煙)であり、これらの習慣が不健全であった場合、その積み重ねによって発病するもので、乱れた生活習慣は多くの“死”を招くこともあります。

次に健康診断の重要性、労働安全衛生法に基づく「労働安全衛生規則」では、事業者は、労働者に対して定 期的な健康診断を行うことが義務付けられていますので、ドライバー自身には健康状態をチェックする大切な機会でもある健康診断は必ず受診し、生活改善につなげよう指導しましょう。健康診断で、注意事項が指摘された場合には、医師の指導に従って健康な状態に戻していくことが、仕事を続けていくためにも必要です。健全な体があってこそ、プロの仕事は提供できるからです。
(続きは10月1日号)

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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