健康管理の重要性
2025年10月1日
『物流なんでも相談所』
岩﨑仁志
前号では安全な輸送には健康管理が重要であると説明しました。
働き過ぎには注意が必要です。月45時間を超える時間外労働となった場合には、産業医による健康管理についての助言指導を受ける必要があります。月100時間又は平均で月80時間を超えて時間外労働となった場合には、産業医の面接による保健指導が必要となります。産業医を選任していない事業所でも、産業保健総合支援センター地域窓口を活用する と、無料で産業保健サービスを受けることが可能です。法的に50名以上の従業員を抱える事業所では、常時雇用する労働者に対してストレスチェックが義務付けられています。
ストレスチェックは運転者が自分のストレスの状態を知ることで、精神面の健康管理に取り組むこと等により、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みでもあります。職場全体でストレスのない職場環境を作っていく意識を高め、従業員同士でも日々互いにストレスチェックをおこなえるようになることが理想です。
精神面の不調を未然に防止するためには、定期的なストレスチェックを行ない、その結果により「医師による面接指導が必要」とされた運転者から申し出があった場合には、医師に依頼して面接指導を実施する必要があります。誰に申し出るのか、面接指導はどの医師に依頼して実施するのか等、ストレスチェック制度の実施方法を話し合い、社内規程として明文化しておくことが必要です。ストレスチェックと面接指導の実施状況は、毎年、労働基準監督署に所定の 様式で報告しなければならなりません。ストレスチェックの結果は直接受診した運転者に通知されることになっていますが、個人情報の取扱いにも注意しておきましょう。
労働者が50人未満の事業所にあっては、運転者に対しての実施は義務付けられていませんが、運転者のストレス状態把握のためにも簡易的なストレスチェックを利用することが可能であり、望ましいと言えます。トラックドライバーは、単独で判断したり、状況変化に対応したり、肉体的・精神的なストレスと戦い続けなければならないことも多い職業です。同じ姿勢で何時間も過ごすなど良好でない心身の状態が運行に 及ぼす影響も大きいため、健康状態 を保持することが必要不可欠であるという意識を運転者は十分理解しておく必要があります。運転者には以下のことを徹底しておきましょう。①運転者の疾病が交通事故の要因となるおそれがあることを理解し、慢性疾患も含め疾病等を必ず申告するようにさせましよう、②運転中に体調の異常を感じた時、無理に運行を続けると非常に危険であることを理解し、体調の異常を少しでも感じた場合は、一旦運転を中止し、速やかに営業所に連絡させましょう。
健康状態の確認項目
- 余暇は心身の休養と考えよう(力をチャージし、リフレッシュしてまた仕事にのぞめるようにしたい)
- 規則正しい食生活とバランスの良い栄養補給を心がけ、勤務を意識した飲酒を楽しもう
- 不摂生による病気の誘発に注意し、疾病予防に努めましょう
- 定期健康診断を必ず受診しましょう
- 適度な運動を心がけ、心身を鍛えるとともに、体力の保持に努めましょう
- 夜更かしや睡眠不足は過労の元となります、十分な睡眠をとるよう心がけましょう
- 精神面の健康管理にも十分留意し、明朗、快活、礼儀正しく行動できるよう心がけましょう
- 精神的な悩みは、上司や同僚に相談し、早く解決するよう心がけましょう
上記項目を徹底させ、安全な輸送サービスを心掛けましょう。