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DHLグループ アフリカ3億ユーロ投資で事業支援 GW刷新・ヘルスケア強化

Daily Cargo  2025年10月29日掲載


DHLグループは、アフリカ大陸のサハラ以南(サブサハラアフリカ、SSA)に複数年で3億ユーロ以上を投資する。同グループで国際事業を担うエクスプレス、グローバルフォワーディング、サプライチェーンの3部門が行う。空港ゲートウェイ(GW)のアップグレードなどの体制拡充、サービス能力強化のほか、eコマース(EC)、生鮮品、エネルギー、ライフサイエンス・ヘルスケアなどの産業に注力する。アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)がアフリカ域内貿易を深化させ、また、世界貿易で同地域の戦略的重要性が高まっているとして、新たな投資計画を打ち出し、改めて長期的なコミットメントを示した格好だ。

DHLグループがこのほど発表した投資計画によると、DHLエクスプレスは、SSAで専用航空ネットワークを展開する唯一のインテグレーターとして、空港GWのアップグレード、航空輸送能力の増強、AfCFTAの中で需要が伸びている“第2都市”への時間指定配送網拡大に投資する。近年のエチオピアとナイジェリアでの成長も基盤に、アフリカと欧州およびアジアをより緊密に結び付けていく。

DHLグループとニューヨーク大学(NYU)スターンビジネススクールが今月発表した、世界の貿易や資本・情報・人材の国際的なつながりを測定・分析する「DHLグローバル・コネクテッドネス・トラッカー」最新版によると、SSAの2025年上半期の貿易額は前年同期比約10.0%増。北米の約7.0%増、中南米・カリブ地域の約5.0%増を上回り地域別で世界で最も伸びた。また、25~29年の貿易量の年平均成長率は9月時点の予測でSSAは4.3%と、南アジア・中央アジア(5.0%弱)に次いで世界で2番目に高い成長率としている。

DHLエクスプレスのジョン・ピアソン最高経営責任者(CEO)は「アフリカは貿易面で重要な分岐点に立っている」としたうえで、「世界的な変動にもかかわらず、アフリカは回復力と成長の勢いを示し続けている。今回の投資は、アフリカの成長へのコミットメントを示したもので、その成長を推進する貿易を支えるものだ。輸送ネットワークとその能力を強化し、中小企業から大企業に至るまで、アフリカの企業が世界で競争しやすくなるように取り組む」と述べた。

AfCFTAは18年3月、アフリカ連合(AU)加盟国のうち44カ国・地域が設立協定に署名し、19年5月に発効、21年1月1日に運用を開始している。特定の市場・品目の取引についてAfCFTAでのルールを適用するパイロット・フェーズを22年7月、8カ国間(カメルーン、エジプト、ガーナ、ケニア、モーリシャス、ルワンダ、タンザニア、チュニジア)で開始し、24年に35カ国に拡大。25年6月時点では54カ国・地域が署名し、49カ国・地域が批准書の寄託を完了している。

「DHLグローバル・コネクテッドネス・トラッカー」のアフリカ版によると、SSAの貿易ルートで25年上半期の貿易額が最も伸びたのはコンゴ民主共和国→南アフリカの約15億ドル、次いでガーナ→南アフリカの約10億ドル。以下、アンゴラ→南アフリカ、ザンビア→コンゴ民主共和国、ナイジェリア→トーゴ、コートジボワール→マリが続いた。

DHLエクスプレス・サブサハラ・アフリカのCEO、ヘニー・ヘイマンズ氏は「貿易が拡大する中、企業は予測可能な輸送時間、安定した輸送実績および現地事情を理解したサポートを求めている。サービス水準と地域密着性を高めることで、より多くのアフリカ企業が効率的に貿易を行い、より大きな舞台で競争できるよう支援していく」とした。

DHLグローバルフォワーディングは、アフリカの貿易成長を牽引する主要産業向けのソリューション強化に投資を集中する。アフリカと欧州、アジア、中東を結ぶ主要貿易ルートで確立している貨物輸送ネットワークと通関の専門知識を基盤に取り組むものだ。具体的には、エネルギーおよびインダストリアルプロジェクト関連の能力を拡大する。また、農産関連や園芸関連の輸出業者向けで、コールドチェーンと生鮮関連のロジスティクスを強化する。さらに、専門的な温度管理輸送により、ライフサイエンス・ヘルスケア分野の専門性強化を続ける。

DHLグローバルフォワーディング中東・アフリカのCEO、アマドゥ・ディアロ氏は「顧客は変化する貿易パターンと厳格化する規制要件に対応しており、信頼性と可視性がこれまで以上に求められている。現地の深い専門知識とデジタルツールでフォワーディングソリューションを強化し、顧客が原産地から目的地まで明確に管理できるようにする」「目標は明らかだ。予測可能な物流を維持し、需要が生まれる地域で顧客がその成長を捉えられるよう支援することだ」と説明した。

DHLサプライチェーンは、トランスポーターとライフサイエンス・ヘルスケア分野に焦点を当て、輸送能力と輸送主導型ソリューションを拡充していく。特に南アフリカの中核市場で3PLの需要が拡大し続けていると指摘し、医療フローと迅速なフルフィルメントを支える温度管理機能の追加などを行う。

DHLサプライチェーン中東・アフリカCEOのオルクン・サルハノグル氏は「南アフリカ経済の活況とサプライチェーンの高度化に伴い、同国で事業を拡大している」「キャパシティの拡大、輸送主導型ソリューションの強化、そしてわれわれのコントラクトロジスティクスの専門知識を活用することで、顧客でのサービス品質向上、リスク管理および事業拡大を支援していく」とした。


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