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CMA-CGM 7~9月純利益は73%減の7.5億ドル 需給軟化に対応へ

Daily Cargo  2025年11月18日掲載


CMA-CGMグループが14日に発表した2025年7~9月期決算は、当期純利益が前年同期比72.6%減の7億4900万ドルとなった。地政学リスクの高まりや貿易摩擦、コンテナ船の運賃市況の低迷により、前年同期比で大幅な減益となったが、前四半期比では改善した。ターミナルや航空輸送、メディアなどのその他事業が好調に推移しており、事業多角化の効果が出始めている。

グループの売上高は11.3%減の140億4200万ドル、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は40.5%減の29億5500万ドルだった。EBITDAマージンは21.0%となり、前年同期から10.3ポイント下落した。

CMA-CGMグループのルドルフ・サーデ会長兼CEOは、「依然として不確実な世界情勢の中、CMA-CGMグループは引き続き回復力と規律性を発揮している。海運事業は堅調に推移しており、ターミナルは勢いを増している。航空輸送も好調で、物流事業と合わせて当社グループの事業における相互補完性が高まっている。今後数カ月間は業界全体で船腹供給量の増加とマーケットの需要低迷が課題となる。長期的なビジョンと顧客に対するサービス提供のコミットメントに基づいて、変化に対応していく」とコメントした。

コンテナ船を中心とする海運事業の決算は、売上高が17.4%減の89億6400万ドル、EBITDAが48.8%減の22億2800万ドルだった。EBITDAマージンは15.3ポイント下落の24.9%だった。コンテナ輸送量は2.3%増の617万TEUと増加し、4~6月期比でも3.4%増となった。米中間の貿易が関税政策などの影響で停滞したが、その他の国の需要増加に柔軟に対応し、輸送ニーズを取り込んだ。一方でTEU当たりの平均収入は前年同期比19.2%減の1452ドルと落ち込んだことが減益につながった。

コンテナ船事業では、今後整備する2万4000TEU型LNG燃料コンテナ船10隻をフランス船籍にすることを決定。インドにおいても、1700TEU型LNG燃料対応コンテナ船6隻をコチン造船で建造する考えだ。インドの6隻は29年から就航する予定で、インド籍船を増やしていく。同社グループは今年末までにインド人船員を1000人採用し、26年には500人採用する計画としている。

ロジスティクス事業の決算は、売上高が4.9%減の45億7800万ドル、EBITDAが6.8%減の4億2800万ドルだった。EBITDAマージンは0.2ポイント下落の9.3%だった。完成車物流や陸上輸送、フレートマネジメントが低迷したことが響いた。今年9月には英国の鉄道物流事業会社フレイトライナーUKインターモーダルロジスティクスを買収する方針を発表。欧州におけるインターモーダル輸送を強化していく。加えて、傘下の物流事業会社であるシーバ・ロジスティクスはトルコの物流企業であるボルサン・テダリク・ジンジリ・チョズムレル・ヴェ・テクノロジー(ボルサン・テダリク)の買収を完了した。成長が見込まれるトルコの事業を強化していく方針だ。

ターミナルや航空輸送、メディアなどその他事業は、売上高が55.0%増の12億1800万ドル、EBITDAは97.9%増の2億9900万ドルと大幅な増収増益だった。EBITDAマージンは5.3ポイント増の24.6%となった。ターミナル事業では、サントス・ブラジルの買収効果が出た。加えて、サウジアラビアのジェッダ港でターミナル4を開発・運営するための合弁会社をレッドシーゲートウェーターミナル(RSGT)と設立。ドイツではハンブルク港のターミナルを運営するユーロゲート・コンテナターミナル・ハンブルク(CTH)の株式20%を取得する方針を決めた。フランスではリヨンのリヨン・エドゥアール・エリオット港で内陸河川運送を開始した。航空輸送では、B777F型機の5機目の納入を完了。これにより、グループの保有機は8機となった。27年からはA350F型8機を導入していく方針だ。輸送能力を拡充するとともに、CO2排出量を20%削減する計画。メディア事業では、欧州のソーシャルメディア「Brut.」の買収を完了した。

今後の見通しについてCMA-CGMグループは、「不確実な環境下において競争力を確保するために、機敏かつ効率的な事業運営と徹底したコスト管理を行い、引き続き慎重な姿勢を維持していく。成長機会を捉えるため、マーケットの動きを予測し、対応していく」方針だ。


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