IATA 公平な貨物便スロット配分を要請
Daily Cargo 2025年12月23日掲載
国際航空運送協会(IATA)のブレンダン・サリバン世界貨物代表はこのほど、貨物便への公平なスロット配分を求める声明を発表した。一部の世界的混雑空港で、貨物便にヒストリック・スロットが認められていないなどの現状を指摘し「世界経済が変化し迅速な物流への需要が強まる中、航空貨物の価値は今後さらに高まる。貨物便への公正なスロット配分は、単なる効率性の問題ではなく、変化する世界のニーズに応えるための前提条件だ」などと訴えた。
IATAは、世界共通の「空港スロットガイドライン(WASG)」に基づき、運航形態にかかわらず公平で、差別がなく、透明なスロット配分を求めている。貨物便専用枠を設けるのではなく、空港全体の処理能力を最大化する視点が必要だと強調する。
WASGはIATAとACI(国際空港評議会)、WWACG (Worldwide Airport Coordinators Group)の3者により、開発・維持管理が行われているもの。航空会社、空港、スロット管理を巡る主要な3つのステークホルダーが共同で策定・合意しているガイドラインだ。
サリバン世界貨物代表の発言要旨は次の通り。
▽航空貨物は目立たない存在でありながら、産業活動や社会インフラ、危機対応に不可欠な役割を果たしているにもかかわらず、空港のスロット配分では後回しにされがちだ。
▽航空貨物は、経済や社会に大きく貢献しているにもかかわらず、空港のスロット配分において、依然として大きな障壁に直面している。ボゴタやドバイを含む多くの空港では、貨物航空会社に対し、ヒストリック・スロットを認めず、臨時的なアドホック・スロットに限定している。中国では貨物便の運航が深夜0時から午前6時までに制限されているほか、英国のヒースロー空港やガトウィック空港でも、貨物便にはヒストリック・スロットが付与されず、運航の柔軟性が著しく制限されている。
▽こうした問題は、駐機制限によってさらに深刻化している。例えば香港では、貨物便の駐機時間が10時間に制限されている一方、旅客便は12時間まで認められており、貨物オペレーターはより複雑な運航計画を強いられている。加えて、各地のローカル規制やスロット調整委員会における議決手続き(旅客航空会社が有利になりやすい)、夜間規制、発着間隔の分離要件、さらにはメキシコシティやムンバイのような全面的な貨物便の乗り入れ規制なども、貨物アクセスを阻む要因となっている。
▽航空貨物がスロット配分で後回しにされる主因は、その経済的価値が理解されていないからではなく、利害関係者の影響力の差にあると考えられる。高頻度で運航し、空港で日常的に目にする存在感の大きい旅客航空会社は、スロット調整委員会において、より大きな発言力を持つ傾向がある。これにインフラ制約や地域特有の規則が加わり、貨物オペレーターは極めて複雑な環境の中で運航を行わざるを得ない。
▽こうした不均衡は、国際的なガイドラインではなく、各地のローカル規制に起因している。「世界空港スロットガイドライン(WASG)」では、運航形態の違いにかかわらず、公平・非差別・透明なスロット配分を求めている。規制当局、空港運営者、スロットコーディネーターは、ローカルルールを見直し、WASGの原則と整合させるべきだ。
▽貨物向けにスロットを囲い込む「リングフェンス化」は解決策ではなく、非効率や予期せぬ弊害を生む可能性がある。重要なのは、すべての利用者にとって空港処理能力を最大化することだ。
▽世界の商取引が進化し、迅速な配送への需要が高まる中で、航空貨物の価値は今後さらに高まっていく。貨物オペレーターに公正なスロット・アクセスを確保することは、単なる経済効率の問題ではなく、変化する世界のニーズに応えるために不可欠なことだ。翌日配送の荷物を受け取ったり、遠隔地に緊急支援物資が届く光景を目にしたりする時、それを支える「静かな巨人」の存在を思い出してほしい。航空貨物は舞台裏の存在ではなく、機会と進歩、そして世界を結ぶ原動力なのだ。
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