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韓国 北極海航路活用に本腰 支援拡充や試験運航実施へ

Daily Cargo  2026年1月7日掲載


韓国は今年、北極海航路の利活用に向けて取り組みを加速する方針だ。韓国海洋水産部は昨年12月23日、北極海航路推進本部を設立した。アジアと欧州を最短距離で結ぶ航路として開発を進め、利用促進を検討していく。今年後半には釜山港からロッテルダム港までコンテナ船を北極海経由で航行する試験運航を実施し、知見とノウハウを蓄積する計画。北極海航路を運航する会社を支援するため、インセンティブ制度も拡充していく考えだ。

近年は地球温暖化の影響もあり、北極海の海氷が減少している。生態系に悪影響を及ぼす一方で、海運業界にとっては新たな航路として北極海経由の航行が可能となるなど、一部で注目されている状況だ。

北極海航路は海氷の融解状況によって利用期間が限定されるものの、利用できればアジア―欧州航路などではスエズ経由のルートに比べてリードタイムを短縮でき、競争力の高いトランジットタイムを実現できる。韓国海洋振興公社によると、北極海航路の利用によって釜山―ロッテルダム間の航海距離は最大37%短縮し、航海日数も平均10日以上減らすことが可能となる。燃費節減と温室効果ガス(GHG)の削減効果が大きいメリットがあるとしている。また現在は紅海情勢の悪化に伴い、喜望峰経由のルートが定着しており、喜望峰経由と比べると大幅な航海日数の短縮につながる。これまではエネルギーやバルク関係での利用が多かったが、コンテナ船でも活用を検討する動きが出ている。

例えば中国系のコンテナ船社、シーレジェンドラインは昨年9月下旬、北極海経由で中国から北欧州までコンテナ船「ISTANBUL BRIDGE」を運航した。こうした動きも踏まえ、韓国でも本格的に北極海航路の利用検討に向けて取り組みを進めている。韓国海洋振興公社は昨年8月に「北極海航路総合支援センター」を設立した。韓国海洋水産部も今回、推進本部を設立することになった。現在はロシア・ウクライナ紛争の影響もあって航行が難しくなっているが、ロシア制裁が解除された場合は韓国企業を中心として北極海航路の開拓をサポートしていく考えだ。

海洋水産部は、北極海航路を運航する船社を支援するため、砕氷船などを建造する場合、最大110億ウォン(約760万ドル)を支援する方針であるほか、金利面での優遇策や、港湾施設使用料の減免など、さまざまなインセンティブを提供する計画だ。2030年に向けて砕氷船の建造技術の開発や専門技術人材の育成も進めていく。

韓国のコンテナハブ港湾となる釜山港においても、北極海航路の利用促進に備える。釜山港湾公社の宋相根社長は26年の新年あいさつの中で、「北極海航路の開拓を通じた物流ネットワークの拡大と港湾インフラの拡充により、釜山港のグローバルハブ港湾としての立ち位置を強化する」と述べた。

具体的な取り組みとして、気象状況や航海状況をリアルタイムで提供するデータセンターの準備を本格化するとともに、ノルウェーやアイスランドなど北欧の主要港湾と連携して、環境負荷の小さい海上輸送網を構築するため「北極グリーン海運回廊(Arctic Green Shipping Corridor)」の構築に向けた協力を積極的に推進する方針だ。北極海航路におけるアジア側のハブ港として重要な役割を果たしていきたい考えだ。

ただ、北極海航路は生態系や環境への影響懸念から、欧州系コンテナ船社を中心に敬遠する企業も多い。同航路の利活用を巡っては、今後も船会社によって方針が分かれる可能性が高くなっている。


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