コンテナ船 中韓で北極海航路活用が加速 シーレジェンドは定期運航
Daily Cargo 2026年7月31日掲載
コンテナ船で北極海航路を活用する動きが出ている。中国のシーレジェンドラインは8月から10月にかけて北極海経由で中国と北欧州を結ぶコンテナ船サービスを展開する。同社は昨年、北極海航路を活用して中国から英国のフェリクストウ港、オランダのロッテルダム港、ドイツのハンブルク港、ポーランドのグダニスク港へコンテナを輸送した。今年は約2カ月間、ウィークリーサービスとして計8便を運航する予定だ。韓国のパンスターも8月22日から、北極海航路を運航する方針としている。紅海・スエズ運河の通航を巡る不確実性が高まる中、北極海航路を活用することでリードタイムを短縮する。
シーレジェンドラインは今年8~10月にアジア―欧州航路「CAX」で北極海航路を活用する。同社が7月29日時点で公表しているスケジュールによると、寄港地・ローテーションは、青島―上海―太倉―寧波―フェリクストウ―ハンブルク―グディニア。8月15日寧波出港の「DUBAI TOWER」から北極海航路の運航を開始し、初便は9月7日にフェリクストウに到着する予定。962~4890TEU型のコンテナ船計7隻を活用し、8月15日寧波出港便から10月3日寧波出港便まで計8便、ウィークリーサービスとして提供する予定だ。
同社は北極海航路のメリットについて、リードタイムの短縮を挙げる。現在、アジア―欧州航路では中東情勢の悪化により、紅海・スエズ運河の航行が難しくなっており、主要コンテナ船社の多くが喜望峰経由で航行している。北極海航路を活用することで、中国から欧州までの輸送時間が20日程度となり、喜望峰経由やスエズ運河経由と比べて大幅にリードタイムを短縮できるほか、燃料消費量なども抑制することが可能となる。
また、従来の航海ルートでは赤道海域なども通航するため、輸送中のコンテナの内部温度も上昇する。中国では近年、蓄電池や電気自動車(EV)などの輸出が増えているが、輸送時に高温環境が続けばバッテリーの劣化が進むとともに、安全リスクが高まる可能性もある。北極海航路を通じてリードタイムを短縮するとともに、低温環境で輸送できるようになることで、輸送品質の向上とリスクの低減を図る。
韓国のパンスターは8月22日に釜山港を出港し、北極海を経由してロッテルダム港、ハンブルク港、グダニスク港に順次寄港する試験運航を行う計画だ。投入コンテナ船は2800TEU型船を予定している。パンスターは7月22日に北極海航路専用の予約・見積りシステムをオープンしたが、ブッキングや引き合いが増えているという。日本発着貨物や中国発着貨物も釜山接続で対応する方針だ。欧州向けの主力輸出品である自動車部品や合成樹脂をはじめ、中古自動車、食品類、液体貨物、美容製品、鉄鋼製品など多様な貨物を取り扱う見込みとしている。今回の試験運航を通じて安全性と事業性を総合的に検証し、北極海航路を活用した定期サービスの可能性も段階的に検討する考えだ。
中国や韓国で北極海航路の活用を進める動きがある一方、欧州系船社を中心に北極海航路を使用しないと宣言する船社も多い。CMA-CGMは2019年に地球環境と生物多様性保護の観点から、北極海航路を使用しない方針をコンテナ船業界としていち早く明らかにしており、MSCも北極海航路の不使用を宣言している。ロシアを巡る地政学リスクの高まりから、利用を敬遠する動きもある。
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