物流よろず相談所

強者の営業戦略と、中小業者との営業戦略の違いは

2019年5月15日

物流よろず相談所 

 

強者の営業戦略にはいくつかの特徴があります。

まず①規模の戦略・・・自社の規模の大きさを活かした戦略。確率がもとをいう勝負に有効です。次に②同質化戦略・・・2位以下のライバルが新しい戦略を打ち出してきたならば、その歩調を合わせて同質の戦略を採用し、ライバルの戦略の効果を減殺させてしまおうとするものです。そして③プラグ戦略・・・②の同質化戦略の一種で、下位企業が現実に戦略を仕掛けてくる前に、弱者がどのような戦略で来るかをあらかじめ予測して先に手を打っておくものです。次に④需要拡大戦略・・・シェア競争ではなく、需要それ自体を拡大することによって売上増を図ろうとする戦略です。また⑤メイン市場の拡大戦略・・・用途開発により新分野開拓、裾野マーケットの創出、使用量増加などによって行われるものです。 ⑥周辺市場の拡大戦略・・・自社事業のマーケットに対するプラスの波及効果を狙って、その関連市場を拡大する戦略などがあります。これらの戦略は物流業でも競争社会ですから有効な戦略と思われます。

逆に大手企業ではない、中小物流業者の戦略はどうあるべきでしょうか。①1点集中の原則・・・自社の戦力を一点に集中させることによって、総合的な戦力で上回るライバル会社に対しても対等以上に勝負できる局面を作ることができるということです。中小企業である物流業者はこの1点で勝負すべきと考えられます。②1位の真似をしない・・・「大手企業がやっているから」と 強者の真似をすることは、強者の土俵に乗ることになり、ヒト・モノ・カネといった経営資源で劣る弱者に勝ち目はないと思われます。③より弱者を叩け・・・「弱い者いじめ」というと、人聞きが悪いですが、企業間競争の上では非常に有効な手であると言えるでしょう。最後に④グッピー戦略・・・③の1つとして、業者数の多い多数乱戦業界では、特定の下位企業と叩くよりも、弱小規模業者を叩く方が早いということがあります。

営業を強くするには、自社の持つ資産を見直し、営業戦略方針を策定することです。主に①ターゲットとすべき市場セグメントの決定。②各市場セグメントにおけるシェア方針の確定。③新規顧客と既存顧客の割合方針の決定。④重要顧客の定義。⑤顧客分布方針や拠点顧客配置に関する決定などが考えられます。次に営業戦略の行動指針化しなくては行動が起こりません。より具体的な
アクションプランが必要です。それは投入戦力には適正量があるからです。

営業の原則として ①顧客当たり訪問頻度が高ければ、顧客当たり売上高は上がる、②営業マンの担当顧客数には限度がある、③訪問件数が多すぎると売上は下がるなどが良く言われることです。それを避けるには、ガイドラインとなるアクションプランが必要なおです。でも何をガイドラインとするかは、企業や顧客によって変わってきます。ガイドラインとして考えられるものは、①外勤日数と正味面談時間・・・正味の営業時間を確保する事が重要です。 ②担当顧客数・・・多すぎても、少な過ぎても生産性は下がってしまいます。 ③川上・川下比率・・・活動比率などを明確に示すことも必要です。④新製品注力比率・・・新製品への注力比重を明示すること。⑤1日の訪問件数・・・望ましい訪問件数を示しておかねばなりません。⑥攻略分野ごとの戦力投入割合・・・投入割合の明示することも忘れてはなりません。⑦顧客格付け基準・・・顧客の重要度区分しておくことも重要な要素です。⑧格付別訪問頻度・・・訪問頻度のガイドラインを設定しましょう。重要な顧客にはより多くの訪問頻度が必要です。

そしてそれらを成功に導くかぎはどこにあるのでしょうか?これまで多くのことを述べましたが、最後にものをいうのはやはり“人”です。人材育成はこれまで何度となく述べてきたので御理解いただけていると思いますが、営業強化は人材育成から始まるものです。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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