物流なんでも相談所

タイプ別分類で円滑なコミュニケーションを

2020年9月9日

物流なんでも相談所 Vol.11

 

物流業務に最も重要なのは人であることは間違いありません。残念ながら、人は機械ではないので性能は均一という訳にはいきません。人間の多様性、良く言われることです。人間にはそれぞれ個性があり、性格も行動パターンも様々です。人との円滑な社会生活を行なうためにはコミュニケーションを欠かすことができません。

ソーシャルスタイル理論とは、効果的なコミュニケーションを行うための手法として、多くの企業で取り入れられている人間関係論です。コミュニケーションの理論として効果的です。特に営業職や販売スタッフなどの顧客と直接関わる職業は、ソーシャルスタイル理論を理解することで、ビジネスでのコミュニケーションがよりスムーズに行なうことができるようになる、とされています。ソーシャルスタイル理論は、米国の産業心理学者であるデイビット・メリル氏とロジャー・レイド氏によって、1960年代に提唱されました。メリル氏らは、人々の潜在的な経営力や営業のセンスなどを見抜く法則を探す研究として、人々がある程度の緊張が伴う場面でどのようにふるまうのかに着目して分析を行い、分析結果を「ソーシャルスタイル」としてまとめました。ソーシャルスタイル理論によると、人はふるまい方や物事の考え方、意思決定の仕方に好みがあり、好みの傾向から大きく4つのソーシャルスタイルに分類されるとしています。ソーシャルスタイル理論を活用するためには、自分自身がどのグループに属するのか、相手がどのグループに属するのかを見定めることが大切です。ソーシャルスタイル理論によって分類される4つのタイプと、それぞれの特徴についてご説明したいと思います。

ソーシャルスタイル理論では、人のコミュニケーションスタイルは「感情」と「意見」の強弱によってコントロールタイプの「ドライビング」、プロモートタイプの「エクスプレッシブ」、サポートタイプの「エミアブル」、アナライザー(分析)タイプの「アナリティカル」という、4つのタイプに分類しました。その後様々な研究者が個別のタイプとして次の4つのタイプ分類を提唱しています。

C:部下や周りをコントロールしたがるドライビング(前進型)

P:プロモートするエクスプレス(感覚派直感型)

F:サポートタイプで仲間関係を大事にするエミアブル、ファミリアィティを持つ(協調派の温和型)

A:分析を大事にする論理的なアナリティカルタイプ(分析型でかつ思考派)

CとF、PとAなど相反する位置にある個性とはコミュニケーションが成り立たないとして社会理論の位置づけでも衆知のことになりました。 部下やビジネス相手とうまくコミュニケーションをするためにはまず自分がどのタイプであるかを知ることが大事です。次にその相手のタイプを確認してみてください。と相反するタイプとなっていないかを確認してみましょう。コミュニケーションを円滑化するには相手との共通性を持つタイプとなって会話することが大事です。ソーシャルスタイル理論で分類される4つのタイプについて、それぞれの特徴をご説明してみます。コントロールタイプのドライビング(前進型・行動派)、プロモートタイプのエクスプレシッブ(直感型・感覚派)、サポートタイプのエミアブル(温和型・協調派)、分析タイプのアナリティカル(分析型・思考派)の4つに区分すると前号で説明しましたが、それぞれの特徴を考えてみましょう。

1.ドライビング(前進型・行動派)ドライビングとは、一言でいえば迅速かつ合理的に仕事を進めるコントロールタイプです。ドライビングな人は、感情表現があまり強くなく、合理的に物事を達成していく傾向にあります。ビジネスライクな性格で、プロセスよりも結果を重視し、決断力に優れています。ドライビングタイプはリーダーシップのある経営者に多いタイプとされ、具体的な行動傾向としては、①冷静で人からの指示を嫌う、②物事の道理を捉え、選択決定が早い、③自分の道は自分で決める、④戦略立案や勝負事への興味が強いなどが挙げられます。

2.エクスプレシッブ(直感型・感覚派)エクスプレッシブとは、一言でいえば周りから注目されることを好むプロモートタイプです。エクスプレッシブな人は、感情表現が豊かで、自ら先頭に立って人を率いていく傾向にあります。どこにいてもノリが良く、トレンドに敏感で新しいことにも積極的に取り組みます。エクスプレッシブタイプは賑やかなムードメーカーに多いタイプとされ、具体的な行動傾向としては①自分の話をすることを好む、②理屈にこだわらない迅速な意思決定ができる、③他人の意見や考えを気にする、④周囲を巻き込んだ行動が得意、などが挙げられます。

3.エミアブル(温和型・協調派)エミアブルとは、一言でいえばどこにいてもみんなの調停役になるサポートタイプです。エミアブルな人は、周囲の気持ちに敏感で、自分の話をするよりも相手の話に耳を傾ける傾向にあります。いつも明るく、自分のことよりも組織全体の調和を重視します。エミアブルタイプは、穏やかな気配り上手に多いタイプとされ、具体的な行動傾向としては①聞き上手で親しみやすい、選択や決断には入念な下調べと時間をかける、③周りの意見を大事にする、④リスクを取ることは避ける、などが考えられます。

4.アナリティカル(分析型・思考派)アナリティカルとは、一言でいえば周囲を観察・分析する論理優先タイプです。アナリティカルな人は、普段はあまり感情を表に出さず、自分が話すよりも聞き手側に回る傾向にあります。独特の価値観や雰囲気を持っている人が多く、データの収集や分析に黙々と取り組みます。アナリティカルタイプは、周囲に影響されにくいマイペースな人に多いとされ、具体的な行動傾向としては①冷静で自立心が強い、②情報やデータを重視し、客観的な事実にもとづいて選択する、③時間管理がきっちりしている、④リスクを取ることは避ける、などが考えられます。ソーシャルスタイル理論を活用して上手なコミュニケーションを取りたいものですね。ソーシャルスタイル理論とは、効果的なコミュニケーションを行うための手法として、多くの企業で取り入れられているコミュニケーションの理論で、人のコミュニケーションスタイルは「感情」と「意見」の強弱によって大きくことなります。ソーシャルスタイル理論を活用するためには、自分と相手のソーシャルスタイルを知った上で、相手のスタイルに合わせたコミュニケーションスタイルをとることが大切です。自分のソーシャルスタイルの特徴を知り、相手のソーシャルスタイルとの違いや共通点を知っておくことで、相手の好みや得手・不得手の傾向が分かり、円滑なコミュニケーションが取れるようになるはずです。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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