物流なんでも相談所

事故撲滅を目指す

2020年9月30日

物流なんでも相談所 Vol.13

 

今年も秋の交通安全週間となりました。勝ち残る物流業者となるには、まずローコストかつ高い物流品質を有していることが条件と考えられます。顧客満足度を高めるため、事故ゼロの追及することが必要なのです。お客様の認識ではプロは事故(交通・商品・労災)を起こさないと考えられており、優れたドラバーを有する企業が勝ち残ることは間違いないのではないでしょうか。事故を防止するために効果があるとされているのが危険予知訓練(KYT)とされています。KYT(危険予知訓練「危険(K)」「予知(Y)」「トレーニング(T))とは、物流業・建設業や製造業などに従事する作業者が、作業に潜んでいる危険を予測、指摘し合うという訓練のことです。事故や災害を未然に防ぐために有効とされ、近年はオペレーターやドライバー等による1回のみの事故により、廃業まで追い込まれるケースもあるだけに見過ごせないものです。KYTは、平成18年4月以降以降物流関係事業者の努力義務とされており、災害の発生を未然に防止したり、未知のリスクへの改善策や注意を促すことができるもの。従業員の危険を減らす上で重要な役割を果たすため、コンプライアンスを重要視する事業所においては必須の取り組みと言えるでしょう。

具体的には、一般的に “現場作業における危険とは何か”を、1枚のイラストや写真をもとに小グループで討議する形式で実施するもので、各参加者が自分の発想で、そこに潜む危険性を挙げていくトレーニング方法です。KYTのメリットは実施方法が簡単(繰り返し実施することで、慣れも早く、時間も短くてすむ)で、イラストや写真を使用するため、状況を目で確認でき、実践感覚が養えるほか、KYTでは最後に指差呼称項目を決定し、それを声に出して唱和するため、グループ内の同意も得やすくなるなどの効果があると言われていますまた、“行動する前に安全を先取りするトレーニング”を重ねることにより、“危険を察知するコツ”を身に付ける事ができるなど副次的な効果も期待できます。

事故を起こさない安全な運行をするためには、交通場面に潜む危険を的確に予測して、それを回避する運転をする必要があります。交差点右折時の対向車や歩行者、単路での前車の急停止、住宅街などでの子供の飛び出しや高齢者の急な横断など、交通場面には様々な危険が潜んでいます。ヒヤリハットに基づくKYTや4ラウンド法などが導入されることが多いのですが、詳細を見てみましょう。まずヒヤリハットとは、重大な災害や事故には至る一歩手前のニアミスな出来事のことで、業務上発生するニアミスは「結果として事故に至らなかった事例」として、報告すらされず見過ごされてしまう事が多いとされています。このヒヤリハットの撲滅で、重大事故の発生を防ぐことができます。近年は、ドライバーが起こした一度の事故で廃業にまで追い込まれるケースも少なくないだけに、重要視される傾向にあります。ヒヤリハット活動は、「1回の重大事故の背景には29回の軽度事故と、300回のニアミスが存在する」というハインリッヒの法則を元に行われているもので、実際の事例をレポートなどで情報共有することで重大な事故を未然に防ぐ目的があるとされています。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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