徒然日記

「忘れる」と言うこと

2020年11月4日

『徒然日記』 


「この話、前に書いたことあったような気がする」と、時々思うことがあって、数年分遡ってチェックしてみたりします。少しだけ前に取り上げた話題をまた書いたと言うことはありますが(多分お断りしていると思っています)、全く同じテーマを今また書いたと言うことは無いと思って安心しています。

「そんなことはない。10年前に同じ話を書いている!」といったご指摘を受けましたら、お詫びをする前に、「よくぞそこまで覚えておいてくださった!」と心より感謝申しあげたく思います。

何でそのようなことを書いたかを白状しますと、「STAY HOME」の自称「HIMAGINE(暇人)」ですので、毎日、文庫本の推理小説を読み漁っています。1日か2日で1冊読んでしまいますので、日蓮宗の僧「井上日召」が主宰した右翼団体が掲げた標語の「一人一殺(いちにんいっさつ)」が頭をよぎりましたが、私の方は穏やかに「一日一冊(いちにちいっさつ)」を目指しています。

そのことに関してですが、初めのうちは近所の書店で、3冊5冊とまとめて購入していましたが、大変なことに気づきました.勿論書籍代が馬鹿になりませんが、書棚がすでに満杯で、購入した本の置き場所がない。そこで、考えました.すでに読み終わった本を再読してみよう!まさに一石二鳥です。

と言うことで始めて見て気づきました。全く筋を覚えていません.有難いと言えば有難いのですが、「それはひとまず置いておき」とケジメをつけて、再読に進みました。

例えば、警察もので著名な今野敏という作家がいます。私は気に入っていて100冊近く所持していますが、例えば、その中で多分皆さんもご存じだと思いますが「隠蔽捜査シリーズ」を読み返し始めました。テレビでも放送されましたが、警視庁のキャリア警視長竜崎伸也(テレビでは杉本哲太)と、同期の刑事部長伊丹俊太郎(同:古田新太)に加えて、規格外の刑事戸高善信(安田顕)などが絡むと言うドラマで、高視聴率を稼ぎましたが、小説の方は第一巻から現在第九巻が文庫本として出ています。

第九巻は最近出版されましたので、初めて読みましたが、第一巻~第8巻まではすでに読んでいました。ところが、一巻から読み直してみると、主な登場人物の名前は覚えていましたが、物語の筋は、全く覚えていないことに愕然としました。

しかし、ものは考えようで、読み出して、筋が分かったり犯人が特定できてしまっては面白くありません。すでに40~50冊ほど読み返してきましたが、そのようなことで、初読みの気持ちで読み進んでいます。

ここで、今回のタイトルの「核心」に触れます。

白状します、私は、高齢者故に「認知症襲来」を恐れています。

前に触れたことがありますが、冷蔵庫になにかを取りに行って、何を取ろうとしたのかを忘れます。良く「認知症診断テスト」に出ますが、「昨日の夜食に何を食べましたか?」は結構思い出せません。テレビを見ていて、その番組に出演しているタレントさんの名前が思い浮かびません。

「これって立派に認知症だ!」と恐れおののきましたが、その道の権威の先生が、どこかに書かれている話を思い出しました。

  • 冷蔵庫になにかを取りにいった目的ものを即座には思い出せなくとも、冷蔵庫の扉を開けて眺めている内に思い出せれば大丈夫。
  • 昨晩の食事に何を食べたかを思い出せなくても問題ない。昨晩食事をしたかどうかを思い出せなくなったら、それは心配。
  • タレントの名前を思い出せなくても、例えば三択的に三人の名前を挙げられて、「そうだAさんだ!」と分かればOK。

と言うことでしたので、総て安全圏内でしたので、まだ執行猶予の範囲内だと安心しています。

そこでまた思い出しました.現在よりも遙かに若かった時代の話です。社長が、外部から来られた方に替わりました。得意先に出かけたときにその話になり、先方の方から「今度の社長さんどなたでしたっけ?」と質問されました。私はとっさには名前が浮かんでこず、しまった!と思いましたが、そこで百戦錬磨!?の経験で、「そうなんです。社長は○○会社の役員をしていましたが、当社とはいろいろなつながりがあって・・・。そうですね。一見すると強面そうなんですが、実はそうでもなくて・・・」などと話しているうちに名前を思い出し、「と言うことですが、新社長の△△は・・・」で、事なきを得たことがありました。

名前が思い浮かばずに苦しんでいたときに、「まあ良いか」と、思い出すことを止めた途端に、名前が思い浮かぶということが時々あります。

さここで、今回のまとめとして、話題を変えます。1952年~1954年にかけて、NHKラジオで放送された「君の名は」(菊田一夫作)というドラマがありました。主題歌は、現在NHKの朝ドラ「エール」の主人公古関裕而の作曲ですが、放送時間になると銭湯の女湯がガラガラになると言われた、伝説的な番組です。なんでそのような話をするかというと、このドラマの始めに決まったナレーションが入ります。

「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして、忘却を誓う心の悲しさよ」です。

そうなのです。書いてきました通りで、当方は「誓う前にすでに何を忘却すべきかを忘れてしてしまっている、さらに悲しい心の持ち主」なのです。

「忘れたいことが忘れられないで、悶々としている気持ち」。そのようなことを実感していた時代・・・あったかな?・・・忘れてしまっています!

著者プロフィール

小泉武衡

職歴
 元 寺田倉庫株式会社 取締役


1964年より「物流業」に携わり、変化する“各時代の物流”を体得するとともに、新たな取り組みとして「トランクルーム」や「トータル・リファー・システム(品質優先ワイン取扱い)」事業に力を入れてきました。さらに、営業・企画・渉外・広報棟ほか、倉庫スペースを利用した「イベント事業責任者」などを歴任し、旧施設の新たな活用、地域開発、水辺周辺の活性化に尽力してまいりました。

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