徒然日記

あとの祭り

2021年5月12日

『徒然日記』 

 

70年以上前に発売された、美空ひばり(有名人には「さん」を付けないのが習わしなので)の「お祭りマンボ」(作詞・作曲:原六郎)と言う曲があります。山崎育三郎(同じく有名人)が、2年前に歌っていましたので,ご存じの方も多いと思います。

神田の生まれのちゃきちゃき江戸っ子のおじさんと、浅草育ちのちょっぴり美人のおばさんが祭りで浮かれている間に、「おじさんの家は火事」、「おばさんの家は空き巣に入られへそくりを取られ」・・・。祭りが済んだ後にそのことを知って,切ない溜息。そしてこの歌は「いくら泣いても、後の祭りよ~♪」で終わっています。

実は前回「ゴールデン・ウイーク」のことを書こうと思ったところで脱線して「望まない孤独」の話になってしまいましたが、その<GW>(最長:4月24日~5月9日の16連休)も終わりました。そして、11日までの東京都等に出されていた「緊急事態宣言」と「新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置」(長い!)は、対象地域が広がって,一部を除いて,期間が「5月31日まで」に延長されました。一日40万人感染のインドに比べると(あちらは日本より10数倍人口が多い)まだ少ないですが,ここ連日,感染者数は全国的に増えています。

こうした「宣言」や「措置」が上手く作用して「あとの祭り」にならないことを祈っています。

その対策として、この「お祭りマンボ」から想像される「三社祭」や「亀戸天神の藤まつり」をはじめとして、私の住んでいた東京下町の祭りなどもすべて中止となっています。10月に予定されている「隅田川花火大会」も早々に中止が決まっています。

東京都知事、大阪府知事をはじめ「緊急事態宣言」発令下の諸知事は,第4次緊急事態発令に対しての思いが「千々に乱れて」いるようです。

中止と言えば、7月23日からの開催が予定されている「東京オリンピック」ですが、「コロナ問題」との兼ね合いから、いまだに「中止論」がくすぶっています。そのことに関して私は,物流関係者としての視点から,別の意味での開催を危惧しています。それは「器財・資材等の搬入と搬出」の問題です。

この「徒然日記」をご覧くださっておいでの皆様の中には,この問題について,実際に関わっている方がおいでだと思いますが、私は,外野からの「一般論」として申しあげます。

従来ですと,開催1年ほど前から各国選手が順次来日。それぞれ各地の合宿地で準備を始めます。それに伴って、「さみだれ式」に,コンテナで「器財や資材」といった物資が持ち込まれます。以前でもそれに関して,各国選手団が持ち込む「膨大な量のコンテナ」の陸揚げふ頭や,運び込まれさらに、逐次移動される際の「運搬のめどが立っていない」という話を聞きました。

「聖火リレー」は3月25日にスタートし、「沿道での声援は控えて」とか「公道は走らない」と言った制約の中で、すでに1月半ほどが経過しました。

そうした中で、オリンピック開催までにあと70日あまりとなった現在、各国からの選手や関係者の入国はゼロです。したがって「コンテナが持ち込まれた」という話も聞いていません。それでなくても「東京港」や「横浜港」は恒常的に「パンク状態」です。

そのような中で,一気に何百(もしかして千以上?)ものコンテナが入ってきたら,どうなるかは火を見るよりも明らかです。

さらに「コロナ下」での病原菌チェックや防疫対策はどうなるのでしょうか。それやこれやが終わったとして、そのコンテナを誰が運ぶのでしょうか?

私は、「コロナ問題」よりも「コンテナ問題」の方が、はるかに「難問を抱えている」「最大のネック」ではないかと思います。マスコミ関係には「是非この切り口での取材を」とお願いしていますが、地味すぎるのか?もっぱら「コロナ一色」で取り上げては頂けません。

そこで諦めて,仕方なく話題を冒頭の「江戸っ子」に戻します。

この「お祭りマンボ」に出てくるおじさんやおばさんは「江戸っ子」と言うことですが、なにをもってそう呼ぶのかという<江戸っ子の資格>を考えてみました。

【多くの研究者は江戸っ子の性格として「見栄坊」「向こう見ずの強がり」「喧嘩っ早い」「生き方が浅薄で軽々しい」「独りよがり」などの点をあげている。また「江戸っ子は三代続いて江戸生まれでなければならない」という概念もよく知られている。】(Wikipedia)とありました。

夏目漱石の坊ちゃんの主人公が江戸っ子を自負していましたが、私も三代続いて江戸の下町生まれで、その他この定義にも随分当てはまることがありますので、「江戸っ子の資格」を十分満たしていると思っています。

コンテナ問題であれこれと申しあげているのは,もしかしてこの言葉、「江戸っ子は五月の鯉の吹き流し、口先だけではらわたは無し」の「言っているだけ」につながってゆきましょうか?

そろそろ枚数が尽きてきましたので,最後の話題に入ります。

表題の「あとの祭り」について思い出したことがあります。その昔、会社の部下が、何かの話をしているときに、「それって<After Festival>ですね」と得意げに言っていたので、「何のことだ!」と質したところ「あとの祭り:です」でした。

私は心底<Before Festival>を願っています。

著者プロフィール

小泉武衡

職歴
 元 寺田倉庫株式会社 取締役


1964年より「物流業」に携わり、変化する“各時代の物流”を体得するとともに、新たな取り組みとして「トランクルーム」や「トータル・リファー・システム(品質優先ワイン取扱い)」事業に力を入れてきました。さらに、営業・企画・渉外・広報棟ほか、倉庫スペースを利用した「イベント事業責任者」などを歴任し、旧施設の新たな活用、地域開発、水辺周辺の活性化に尽力してまいりました。

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