物流なんでも相談所

商品事故をなくすには

2021年6月30日

物流なんでも相談所 Vol.32

 

商品事故が発生すると、=物流会社の問題となってしまっているケースが多いのも事実です。輸配送時における車両事故ならともかく、商品事故まで「荷扱いが悪い」など、それなりに妥当とも言える理由付けで、物流会社に責任転嫁されるケースも少なくありません。輸配送や入出荷作業など物流会社への丸投げされているため、また力関係も荷主が優越的な地位にあるためこのような構造の実態が見え隠れしています。「管理」は荷主責任、「運営」は外部責任という外注化の基本が守れていないことも考えられます。ここで物流における商品事故をもう一度考えてみましょう。物流会社もこのような「決めつけ」に泣き寝入りしてはなりません。「なぜ商品事故が起こったのか」と原因を追及し、商品事故を撲滅する仕組み作りができれば、悪者を作らなくても済むことになります。

物流会社としてできることは、「商品事故報告書」の内容やフォーマットを見直し、担当者に詳細な記入を徹底させること、それを集計して荷主と話し合いの場を設ける必要があります。事故要因からその撲滅対策を実施し、効果を出した事例として以下のようなものもあります。

  • ガラス器械卸・販売の会社では、商品事故のあまりの多さに、物流会社だけに任せてはいられない、自社でも策を講じなければならないと「商品特性マスター」を作成し、出入り物流会社のドライバーに自社の商品の特性を理解してもらうようにしました。
  • 精密機械・部品メーカーでは、梱包方法の見直しを行い、ムダな梱包部分を無梱包状態にし、「キケン個所」の強度をさらに高める梱包形式に変更、段ボールメーカーも参加し、梱包の共同開発を行なうなどして事故撲滅に取り組みました。
  • ハンドリング数が多い路線便の使用を諦め、近場の得意先に限って最低0.5トン分のロットがまとまるまで出荷せず、在庫を持ってもらうことで地場配送会社に切り替えました。これは得意先の多頻度少ロットのニーズを断り、輸送品質向上に傾注した例でもあります。

このように、物流会社側でも商品事故に対する具体的な情報を提示することが必要で、そうすることで「荷主の言い分」も変わってくるのです。

次に誤出荷をなくすことが大事です。誤集荷事故ゼロは、永遠の課題ともいえるものです。常に事故ゼロを掲げて様々な改善活動を行っておられると思いますが、それでも事故をゼロにすることができないといわれる事業者が多いのも事実です。これまで、品質面において我々のお客様の関心が最も高く、残念ながら影響度が大きい為にお叱りの声が厳しいのも誤出荷事故に関するものである場合も多いでしょう。誤出荷をなくせば品質向上につながるだけでなく、荷主の信頼獲得、そして経営面での効果も大きいのです。実は事故防止に関しては「バーコード管理」が可能か否かという点が非常に大きいポイントであり、それによって現場における業務フローは勿論、誤出荷防止策も全く異なるものとなります。また、現状ではバーコード管理が難しい商品もあるでしょうが、導入から運営までのシステム構築を含めた一環業務を請負って効果を上げることができるでしょう。詳しくは次回に説明させていただきます。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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