物流なんでも相談所

物流業における事故防止策

2022年7月6日

物流なんでも相談所 Vol.43

 

トラック業界ではゴールデンウィークを前に貨物量が増えつつあるようです。事故が増えてくるのもこの時期なのです。もう一度御社の安全管理体制を見直していただきたいと思います。トラック各社では、これまで都道府県トラック協会が推進してきた適正化事業の効果もあり死亡事故者数も減少傾向にありますが、依然として車両割合を超える死亡事故を営業トラックが第一当事者として引き起こしている事実は変わっていません。事故を防ぐには、日からの防止活動が重要であると、これまで何度も申しあげてきました。

最近は、これに加えて商品事故も増えており、その弁済金額は損害金額の半分を占めています。荷主から見ると、交通事故も商品事故も同じ事故です。この事故を防ぐには同様にすればよいのでしょうか?そこで、ドライバーに厳しく、事故のないように安全大会や朝礼などで徹底をはかるということになります。もちろんこの様な全体での確認徹底することも重要です。しかしながら、なぜ事故が起こってしまうのか、もう一度基本事故売を見直すことが必要なのではないでしょうか。それでは未然に防ぐにはどうすれば良いのか、不安全の要素となるものを取り除く対策を講じることがより効果的となります。その対策も経営者や幹部が打ち出したものではなく、ドライバーが日頃からのヒヤリハットや過去の事故事例をグループ活動などで討議してもらい、その対策を吸い上げて事故防止策を実施することが必要となってきます。言われたことを実行する、これでは本当の意味での事故防止策を理解していることにはなりません。自分達で作り出した対策を実施することで自ずと責任感や自覚も生まれてきます。事故対策がより確実に日々の運転や作業時に実施されることで、事故の件数はグーンと減ることにつながります。

事故を起こさないためにはまず確実に始業点検を実施すること、定期的にエアフィルターやオイル交換、タイヤの空気圧、ボルトの緩みなど事故を防ぐためにも確実に実行しておきたいものです。運転するドライバーの健康管理もとても重要です。インフルエンザが猛威を奮う中で、手洗い、うがいの励行、そして何よりも適切な睡眠と食事など自己管理を徹底することです。そのためには、血圧計や体温計を設置して、運転前にチェックする体制を整えましょう。もちろん点呼の徹底は言うまでもありません。出発前点呼だけでなく、帰着時の点呼も重要です。運転を終えてドライバーは安心した状態となっています。仕事上でのトラブル、人間関係など把握する上で、帰着時に仕事の内容など尋ねてみると、本人が抱えている悩みやストレスなど把握することも可能となるでしょう。これらのドライバーが抱えている問題を取り除くことも事故防止策としてはとても大事なことなのです。加えて、安全5原則の徹底、速度超過をしない、確実な車間距離を保つ、カーブでの減速、一時停止・徐行の履行、交差点での注視そして何よりも飲酒運転を絶対にしないこと。事故を起こしてしまうと対策費用がかかるだけでなく、荷主の信頼を失い、仕事がなくなる恐れもあります。何よりも事故を起こしたドライバーの家族の生活も脅かされえることになります。年末年始に向かって事故防止対策を見直していただきたいと思います。

事故をなくすには日頃からの訓練が重要です。出発・帰着時の点呼を徹底し、始業点検や健康チェックを徹底したいものです。次年度から点呼において、代務者による点呼は認められなくなりました。これまで、運行管理者の代わりに、講習を受けたドライバーが代わりに出発・帰着点呼を行うことで点呼の実施と見なされていましたが、規則の改正によって、運行管理者の資格を有する者による点呼しか、点呼と見なされなくなりました。しかし、安全性優良事業所認定(Gマーク)取得事業者はIT点呼が可能となり、代務者がいなくても、運行管理者が点呼を管理することができる制度も、可能となりました。安全の徹底!Gマーク認証の取得に是非取り組んでいただきたいと思います。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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