新たなる採用、SNS活用(その1)
2026年1月7日
『物流なんでも相談所』
岩﨑仁志
2026年の物流業界において人手不足と輸送能力の低下は前年以上に進むことが見込まれています。それはベテランドライバーの引退が増えてきたことに、加えて現役のドライバーの時間外労働の上限規制も加わり、問題がさらに深刻化したことが要因と考えられます。運送業界を取り巻く状況が厳しさを増す中、人材の確保と定着は企業が経営を続けていく上で重要な課題となっています。
高い費用をかけ、採用し、免許取得費用まで援助しても、定着につながらないドライバー、その要因は本当に賃金や労働内容のせいなのか、改めて考え早期に対策を施す必要があります。採用を考えるにあたり自社の労働環境という土台をまずしっかり作っておくことが先決です。賃金体系の見直しや休暇取得のし易さなどを社内で実現し、ホワイトなイメージを整えておくことで、定着率を上げることにもなるからです。そのためには現場の声を聞き、会社の問題点や魅力を把握した上で求人内容に反映させることも重要です。
現在多くの運送業では、採用において主に給与以外の魅力を上手く伝え切れていないことが多いものです。EVP(企業が従業員に提供できる価値)が未定義であったり、企業が目指すものや社風、働きがいをそそる魅力(安全教育や免許取得援助、福利厚生等)が募集側で整理されていないと、求職側にも魅力が伝わりにくいことになります。自信を持って自社に合った人材を呼び込むことがポイントでしょう。例えば;「20代、収入重視のドライバー」「子育て中30代歓迎、日勤希望者」、など具体的な属性で求める人を明確化してターゲットに届くようにしましょう。そのためにも事前の社内整備が必須となります。応募から面接・採用までを最適化することが重要です。応募から採用までのスピードを上げることが第一、応募者対応が遅れると、魅力的な人材は他社に持って行かれる恐れがあります。面接日程の即決や応募当日の決定連絡などに加え、現場見学やトップによる面接なども実現したいものです。
運送業界での深刻なドライバー不足が課題となる中、効果的な採用手法として、SNS活用が注目されています。従来の採用方法では若年層へのアプローチが難しくなる今、SNSを戦略的に活用することで採用率を大幅に向上させた企業が増えています。運送業界特有の課題を踏まえたSNS採用の導入方法から成功事例、実践のステップまで見てみましょう。
これまでの運送業界における採用活動は、ハローワークや求人サイト、求人広告などが中心だったが、これらの手法には明確な限界が見えています。若年層の情報収集行動が変化し、求人サイトよりもSNSで情報を得る傾向が強まっています。従来の媒体では若手ドライバー候補にリーチしづらくなっています。さらに、「きつい・厳しい・給料が安い」といったネガティブイメージが定着しており、このイメージを払拭する効果的な情報発信が難しいという問題もあります。また、求人情報だけでは会社の雰囲気や実際の仕事内容が伝わりにくく、入社後のギャップによる早期離職も課題となっていることもあります。中小運送会社においては採用コストの高騰も大きな負担となっており、人材紹介会社の手数料は採用者の年収の30%以上が相場となっています。SNS採用が運送業界で注目される背景には、いくつかの明確な要因があると考えられます。第一に、Z世代・ミレニアル世代のSNS利用率の高さが挙げられます。総務省の調査によると、休日のSNS利用時間全世代平均の47.4分を大きく上回っています。特に若年層は就職・転職活動においてもSNSを重要な情報源としており、マイナビの調査では新卒学生の68.2パーセントがSNSで就職活動関連情報を収集していることが明らかになっています。(続きは1月28日号)