外国人 人材採用の新制度、育成就労制度について
2026年1月14日
労務管理ヴィッセンシャフト vol.42
野崎 律博
◆2027年より始まる育成就労制度について
新年、明けましておめでとうございます。昨年は物流事業におかれましても様々なことがございましたが、新年を迎え良い年になりますこと、お祈りいたします。2024年問題など様々な課題で奮闘中の物流業ですが、その中でも大きな経営課題として継続中なのは、ドライバーの人材不足問題です。全産業的に少子高齢化の中、人材不足はどの産業にも共通課題ですが、とりわけ物流ドライバー不足は顕著であるといえます。これらに対する解決策として、特定技能制度を活用し、外交人材の採用を検討する企業も増えております。2024年に特定技能実習制度の対象業務に「自動車運転業」分野が新設され、採用を検討されている、あるいは採用している事業主様もおられると思います。かかる技能実習制度ですが、2027年4月より従来の技能実習制度に代わり、育成就労制度が始まります。
◆育成就労制度と技能実習制度の違いについて
従来の技能実習制度は、発展途上国への技術移転を目的として行われておりました。しかしながらその実態は、深刻化する日本国内の人手不足を補う労働力確保の手段として代用されてしまう面が強く、制度本来の持つ理念とのギャップが生じていたことは否めません。それゆえ育成より労働力確保が優先される傾向も強く、受け入れ機関や管理団体から疑問の声もありました。それゆえ本題の趣旨に反し、低賃金や長時間労働などが問題となることがしばしばありました。それというのも制度に基づく対応を行ってはいるものの、人材育成より人材確保が優先される傾向が強く、制度の意義がぶれてしまっていたことが原因といえます。また技能実習制度の中で、様々な人権上の問題が生じることもあり、国際的にも指摘を受ける案件となっておりました。
また従来の技能実習制度で問題となっていた点の一つとして、実習生の転籍が困難だった点が挙げられますが、新制度によって容易になる等の改正が行われます。具体的には育成就労制度では一定の条件付きで、実習生の自由な意思による転籍が認められることとなります。その際実習生の要件として、転籍元で一定の在籍期間があることや、語学試験に合格すること等の条件を満たす等の要件を満たす必要があります。転籍先の要件としては、既に実習生を受け入れ済であることや、国から受けた優良認定または実習生在籍者の一定割合以内であること等が挙げられます。つまり制度の本来の目的である人材育成を疎外することが生じない点について、配慮された内容となっております。
転籍にあたりもう一つ重要なポイントとしては、転籍元の初期費用を転籍先が按分し負担することです。従来の技能実習制度では、転籍や職場変更は原則できなかったため、不本意な労働条件や環境に対し、実習生はなすすべもなく失踪する等の問題も生じておりましたが、これら制度改正により改善が見込まれるものと考えます。ただし事業主側からみれば、これら転籍が容易になることは、より良い労働条件に企業に(実習生が)転籍してしまうのではないか?という懸念の声もあります。実習生側に立てば、より報酬が高い企業に転職したいというのは自然の流れであるといえるかもしれません。そのあたりは業界水準の賃金等を鑑み、低すぎない賃金を設定することが求められることになります。受け入れる側の企業にとっては、懸念される事項かもしれませんが、従来の問題を解決するための手段としては、やむを得ないものと考えます。
また育成就労制度では、育成就労制度開始までに日本語能力A1(日本語能力試験N5等)相当以上の試験の合格またはそれに相当する日本語講習の受講が必要となります。また就労開始後1年経過後には日本語試験(日本語能力A1相当以上の水準から日本語能力A2相当以上の水準までの範囲で分野ごとに設定)の合格が必要となります。また配属後の日本語講習に関し、受講料などの費用は受け入れ企業が負担する必要があります。ちなみに受講の方法としてはEラーニングも認められております。
最後に物流業界としては直接関係ありませんが、労働者派遣事業への受入れも農業・漁業限定で解禁されることになりました。その場合、派遣元だけでなく派遣先においても、育成就労責任者について適正な派遣に必要な知識があることや、派遣受け入れ先が3社までの制限等、一定の要件が求められることになります。
出典:厚生労働省「育成就労制度の概要」
⇒ https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001301676.pdf
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