改正2法の中で、人材課題に対応する
2026年4月1日
『物流なんでも相談所』
岩﨑仁志
今日、物流事業経営者は後年を追うごとに深刻化していくドライバー不足など様々な課題と対峙しながらも、この課題を乗り越えていく決意をしなければなりません。政府がここ数年物流危機を回避するための施策を矢継ぎ早に打ち出してきました。その集大成ともしたのが2025年4月改正貨物自動車運送法(全ての物流事業者・荷主に対する努力義務)、2026年4月改正物流効率化法(一定規模の物流事業者・荷主に対応義務)で、段階的に施行されていきます。今年4月から施行される物流効率化法は一定規模以上(取扱貨物量9万トン)の荷主だけではなく、一定規模以上の物流事業者(倉庫70万トン以上、運輸150台以上の保有)にも義務が課せられます。
この様な中で、2026年の物流業界においては人手不足と輸送能力の低下は前年以上に進むことが見込まれています。ベテランドライバーの引退が増えてきたことに加え、時間外労働の上限規制も加わり、問題がさらに深刻化しています。
運送業界を取り巻く状況が厳しさを増す中、人材の確保と定着は企業が経営を続けていく上で重要な課題となっています。しかし高い費用をかけ採用し、例え免許取得費用まで援助しても、定着につながらないドライバー。その要因は本当に賃金や労働内容のせいなのか、改めて考え、早期に対策を施す必要があります。
物流効率化法(「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」と「改正貨物自動車運送事業法」)は、「2024年問題」に対応し持続可能な物流を実現するため商習慣を見直し、効率化をより促進することを目的として2025年4月に施行されました。
物流は、国民生活や経済活動、地方創生を支える不可欠な社会インフラですが、物流分野における人手不足、長時間労働等の厳しい労働環境、価格競争に伴う厳しい取引環境・雇用 環境等、物流にまつわる課題は深刻化しています。政府はこの問題に対処するため、法改正や制度などを改変し、持続可能な物流体制を構築しようと施策を打ち出してきました。2024年4月以降時間外労働の上限規制が適用され、輸送力不足による物流の停滞が 懸念される中で、物流の効率化、商慣行の見直し、荷主・消費者の行動変容及び労働時間の是正などを目的とした「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」及び「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」が2024年5月に公布されました。
「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」は 改正に伴い名称を変更、「物資の流通の効率化に関する法律」となり、荷主 (発荷主・着荷主) 、物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課し、国がその取組状況について指導・助言、調査・公表を実施することになっています。さらに一定規模以上の荷主、物流事業者(特定事業者)に対しては、中長期計画の作成や定期報告等を義務付け、中長期計画の実施状況が不十分な場合、国が勧告・命令を実施することにもなっています。この改正が注目される点はこれまでの縦割り省庁の中で改善が進まなかった物流改題が国交省を柱に、経産省、農水省、公取委などが協力してこの法制度を進めていくことにあります。
さて、このような中で自社はこの最大の課題である人材不足にどう対応していくのか、ここで今一度方策を見直してみる必要があるでしょう。
採用を考えるにあたり自社の労働環境という土台をまずしっかり作っておくことが先決です。賃金体系の見直しや休暇取得のし易さなどを社内で実現し、ホワイトなイメージを整えておくことで、定着率を上げることにもつながります。現場の声を聞き、会社の問題点や魅力を把握した上で求人内容に反映させることも重要でしょう。現在多くの運送業では、採用において主に給与以外の魅力を上手く伝え切れていないことが多いとされています。EVP=企業が従業員に提供できる価値が未定義であり、企業が目指すものや社風、働きがいをそそる魅力(安全教育や免許取得援助、福利厚生等)が募集側で整理されていないと、求職側にも魅力が伝わりにくいものです。大事なことは自信を持って自社に合った人材を呼び込むことです。例えば「20代、収入重視のドライバー」「子育て中30代歓迎、日勤希望者」、など具体的な属性で求める人を明確化しましょう。そのためにも事前の社内整備が必須となります。応募から採用までのスピードを上げることが大事です。応募者対応が遅れると、魅力的な人材は他社に持って行かれる恐れもあります。面接日程の即決や応募当日の決定連絡などに加え、現場見学やトップによる面接なども実現することが好ましいと言えます。優秀な社員採用にはできるだけの工夫、努力を行ないたいものです。次回は社員の定着について説明させていただきたいと思います。