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日立物流とAITが資本提携 AIT、日新運輸を子会社化

日刊CARGO 2018年10月11日掲載

 

日立物流とAITが資本提携 AIT、日新運輸を子会社化日立物流とエーアイテイー(AIT)は10日、資本業務提携すると発表した。3月1日付で、AITと日立物流子会社の日新運輸が株式交換し、AITを完全親会社として、傘下に日新運輸が入る。3PLをメインにM&Aを活用して総合物流を拡大する日立物流と、日中航路のNVOCC大手のAITが手を組み、「フォワーディングと3PLをより高度に連携させたサービスを提供する」(日立物流)。また、アパレル・雑貨物流のプラットフォーム化による収益基盤の強化、非アパレル・非雑貨分野での協業による営業力強化を図る。日立物流は佐川急便などを傘下に置くSGホールディングスと連携して既に共同事業を始めており、3PLの得意な同社にとっては「陸」の小口貨物輸送に次ぐ「海」のフォワーディング分野への拡大となる。

同日に資本業務提携と株式交換の契約を結んだ。交換比率は、AITの1株当たり日新運輸1・2株とする。株式交換後、日立物流はAITの株式約20%を保有する。なおAITが12月21日に開催予定の臨時株主総会での承認や関係当局の承認を前提とする。

日立物流は、「日立製作所グループ以外の貨物取り扱いを拡大し、あらゆるステークホルダーから最も選ばれるソリューションプロバイダーを目指す中、AITはともに国際貨物輸送事業を行う。AITは特に中国沿海部で重点的に拠点を設置、同国で細部にわたるフォローや顧客への貨物情報提供を行っているほか、AEO通関業者の認定も受けてセキュリティーとコンプライアンスが担保されている」としたうえで、今回の提携の目的について、さらにロジスティクス・テクノロジーやIT活用による最先端物流の取り組み強化や企業価値の最大化、社会的使命の達成の一助を挙げている。

AITは大阪市中央区に本社を置き、直近の2018年2月期は売上高251億円、営業利益15億円。同期のNVOCC取扱量は計約20万TEUで、うち中国・香港出しが約16万TEU。海上貨物の約9割は日本向け輸入で、中国系フォワーダーが物量を握る日中航路のイーストバウンドでは大手の一角。主に西日本地区のアパレル・雑貨荷主に強いことでも知られる。

日新運輸は同市此花区に本社を置き、同社単体の17年3月期は売上高136億円、営業利益2億円。同様に日中航路のNVOに強く、西日本の繊維・アパレル荷主との関係が深く、中国側で検品事業なども展開している。

日立物流にとっては、AITのグループ化で、海上フォワーディングに加えて、AITと日新運輸の一体運営によってアパレル・雑貨分野の強化につながる。バンテックのM&Aで拡大した自動車に次ぐ、産業分野の拡大にもなる。

AITにとっては、地盤を同じくし、日中航路のNVOで競合する日新運輸の完全子会社化で物量統合によりスケールメリットを拡大でき、サービスや仕入れの競争力強化につながる。


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