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アルフレッサ 羽田対岸に再生医療輸送拠点 市場拡大期待で海外輸送提案

日刊CARGO 2018年11月19日掲載

 

医薬品などの卸売販売を手掛けるアルフレッサは8月、羽田空港対岸の殿町地区(川崎市)で再生医療等製品の流通拠点「殿町再生医療流通ステーション」を開設し、海外での製造も多い再生医療等製品の医療機関向け輸送を手掛けている。同地区は、2020年にも羽田につながる新しい橋(仮称=羽田連絡道路)が完成予定で、空港までのアクセスが向上する。同社は国内外での再生医療市場拡大を見据えて、4月に再生医療等製品の物流専門チームを設置しており、ソフト・ハード面での物流強化を進めていく。

再生医療等製品の輸送では、生きた細胞にダメージを与えず活性を維持するために超低温状態が求められる。殿町再生医療流通ステーションでは凍結試料搬送容器「ドライシッパー」を備え、再生医療等製品に適応するマイナス150度以下の保管・輸送を可能とした。ドライシッパーは液体窒素を利用して超低温状態を作る。使用する前日に液体窒素を注入して容器を冷却する。

同社は三菱倉庫と業務契約を締結し、8月からドライシッパーを含む同倉庫内の設備を共有している。作業手順書は両社で作成し、手順書に基づき三菱倉庫が管理する。製品によって必要な温度帯は異なり、液体窒素を利用した冷却方法のほか、マイナス80度ほどの冷却ではドライアイスを利用する。液体窒素の気化による酸素濃度低下の恐れがあるため、倉庫内と隣の事務所に酸素濃度の測定器を設置している。酸素濃度が一定のレベルを下回るとアラートが出るほか、スタッフの退出時には機械警備に切り替わるなど安全を考慮し、通常のオフィスよりも強力な換気機能と非常用発電の設備も備えている。

アルフレッサは4月に再生医療流通グループを設置。「物流」「商流」「情報流(輸送スケジュールの調整など)」の三つを軸に据えて再生医療等製品に適応した輸送のオペレーションを行っている。特に対医療機関での商流と情報流に強みをもつという。

再生医療等製品は海外で細胞の培養や加工を行うこともあるため、輸出入の作業が必要となる。今後は日本と海外の研究機関での共同治験の増加も考えられ、海外輸送が関わる場合には、三菱倉庫のノウハウを生かして共同提案を行っている。

◆関西拠点も検討
同市場は今後の拡大が期待されている段階だ。福神雄介執行役員ロジスティクス本部副本部長は「少し前では再生医療は研究・開発段階だったが、近年は治験を始めようとする企業などが増えてきた。今後、大きな市場を見込める」と話す。一方、納品先の受入れ環境について川田純也ロジスティクス本部ロジスティクス戦略部再生医療流通グループ長は「日本の病院は、再生医療等製品の保管が可能な超低温フリーザーを用意していないところも少なくない」と述べた。院内で保管ができない場合、患者の治療のタイミングに合わせた輸送計画が必要となる。例えば、同社は、患者自身の細胞を培養・加工して行う自家細胞型の治験輸送では、成分採血後の血液を受け取り、24時間以内に輸送している。同社は国内の納品先との輸送スケジュールの調整などを担当している。
 今後の拠点展開について関西での新たな再生医療等製品の流通拠点設置も検討段階にあるとした。また、BCP(事業継続計画)に対応するためにも新たな拠点の確保を進め、再生医療等製品の流通体制の整備に注力する方針だ。


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