経営者インタビュー「物流最前線をみる」

若手採用難、高齢化に歯止めなく。コスト増でも万全な対策を

経営者インタビュー ~物流最前線をみる(3)~
ILRS-NEWS Vol.447

株式会社池田自動車運輸 池田和彦 代表

-御社にとっていま最も重要な経営課題は何か。

(池田代表)若い人の採用難で平均年齢がどんどん上がって社員が高齢化していることだ。ドライバーの平均は50歳以上となっており、60歳代もけっこういる。定年は65歳なのだが、人手不足なのでそのまま居てもらっている。しかし、高齢化すると病気や怪我が多くなり、先日も自宅に居て脳梗塞になった人のほか、骨折して1年間休んでいる人もいる。

高齢化が進むとリスクも高くなるので若い人に早くバトンタッチしたいのだが、採用がなかなか難しい。いろいろな求人活動をしたが、金がかかるのに人が採れず、費用対効果はゼロに等しい。採用面ではむしろ従業員の紹介制度を作って社内で制度化したが、1年で4人採用でき戦力になっている。自衛隊出身者が除隊者を紹介してくれるなどで、紹介制度による採用は広がりをみせているが、人数的にはまだまだ足りない。

― 安全対策ではどのような対応をされているのか。

(池田代表)全体の安全大会を年2回やり講師を招いて安全教育を行っている。ドライバー本人が安全意識を向上させることが必要だが、安全大会は日曜出勤でもほぼ100%の人が出席する。15年ほど続けており先日も2月10日に開いたほか、毎月開催する安全衛生委員会では、問題点を提起して安全な業務推進を目指して議論を重ねている。また全車にドライブレコーダー、デジタルタコメーターを装備している。ドライブレコーダーは必要不可欠な装置だ。当社では昨年2回の大事故があり、一つは相手のセンターラインオーバーによる衝突だったが、ドラレコで相手ドライバーが衝突前に死亡して斜行したことが判明し、当社への処分は免れた。もう一つは大井トンネルで渋滞時に追突されてして車両が大破した。新車には衝突軽減防止装置、車線センサーや顔面認識、まばたき警告など安全装置がたくさん付いてコストも高くなるが、安全には代えられない。

社員教育としてはこれら社内の安全教育のほか、トラック協会や路地圏のセミナー、実務勉強会に新人若手、中堅社員が積極的に参加している。

― 行政などに何か言いたいことがあれば。

(池田代表)いまは働き方改革で時間外労働の短縮が至上命題となっているが、それだけに目を向けて運送業界に活気がよみがえるのかははなはだ疑問だ。もちろん時短は大事だが、かつてドライバーは働けば働くほど高収入だった時代があり、今でもそれを望んでいる人は少なくない。まして平均年収が他業界に比べ100万円低い現状で、いまの働き方改革は収入アップをめざす活気の芽を摘んでしまう気がする。他に何かよい方法はないものかと考えてしまう。改正貨物自動車運送法では荷主にも言及した内容ではあるが、元請が存在するようなケースではなかなか荷主に伝わらない。現状では若い人を雇って満足する給与を払えるレートではなく、現実と改革の乖離はあまりに大きいと言わざるを得ない。
(聞き手:葉山明彦)


株式会社池田自動車運輸 
千葉県印旛郡栄町矢口神明2-3-6

代表取締役  池田 和彦
ホームページ http://www.ikeda-ik.co.jp/

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配信頻度:隔週
物流会社がいま何を問われ、何を最重視して取り組んでいるのか。また、安全対策は…、社員教育は…。いま直面する問題にどのように対応しているのかを経営者に直接インタビュ-し、生の声をお届けします。

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