経営者インタビュー「物流最前線をみる」

JR到着扱い貨物波動に対処 / 安全対策の根本は大切な家庭

経営者インタビュー ~物流最前線をみる(4)~
ILRS-NEWS Vol.449

 

富良野通運株式会社 藤田 均 社長

-御社にとっていま最も重要な経営課題は何か。

(藤田社長)富良野は農村なので貨物は農作物が中心でアウトソースの2次加工を含め農業関係が6割を占めている。農作物の作柄は天候に左右され、波動が大きいのが悩みだ。今年度は春先の台風と長雨で18%減となった。これをカバーすべく、近年取り組んでいるのがJR貨物の全国からの到着貨物の対応だ。札幌に進出して全国の大手と取引を開始し成果がみえてきている。

― 安全対策ではどのような対応をされているのか。

(藤田社長)安全対策については、私は社員の健康とともに最優先事項として取り組んでおり、社内外の安全教育のほか社内報でも何百回と書いてきたし、毎年4月1日に全社員に話す経営指針でも理念として取り上げ、繰り返し話してきている。その場では3か年計画を話す中で、事故発生状況をしっかりと話すほか、売上、利益、財務などガラス張りにしてすべてを話し、社員にも家族にも理解してもらえるようにしている。安全を考える上で大事なのは人間の健康や精神面を損なわないことで、家庭を大切にすることだ。これは名刺にも印刷してあるが「心にゆとり、人に思いやり」を持って、毎朝ニッコリ笑顔で出勤できるような環境作り。だからドライバーには会社のことよりも自分の家庭のためと思って運転してくださいと言っている。それがひいては安全につながり、確認作業の重さも増してくる。

― 社員教育はどのようにされているか。

(藤田社長)ドライバーなどの技術指導はディーラーを呼んでメンタル計画や燃費、タイヤの確認、コンプライアンスなど今年の重要項目を取り上げ、全員が毎月研修を受け、事故後の個人指導なども行う。また、各営業所から苫小牧ドライビングスクールにも企業負担で通わせている。このほか中間管理職や事務職員などのほか運送関係の小班長クラスまでを対象に中小企業大学校に通って勉強してもらっている。路地圏やローカルネットあるいは富良野商工会議所やトラック協会の研修会などあれば社員を出すようにしている。私もそうだが人間は絶えず成長しなければならないと思っている。

― 富良野は道内でも有数の観光地だが地域との連携は。

(藤田社長)観光地とはいえ田舎の小さな農村なので、富良野をなんとかしたい、恩返しをしなければと思い、「ふらのまちづくり会社」の役員として地域活性化に取り組んでいる。社員には学校のPTA、町内会その他どんどん参加せよと言っている。運送業もそういうことを通じて市民に理解されていくと思う。

(聞き手:葉山明彦)


富良野通運株式会社
北海道富良野市朝日町13番6号

代表取締役社長  藤田 均
ホームページ http://www.furano-exp.jp/index.html

経営者インタビュー「物流最前線をみる」

当社へのお問い合わせはこちら