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郵船ロジスティクス SCソリューション事業を深化 初商品で導入事例

Daily Cargo  2019年5月21日掲載

 


郵船ロジスティクスは、サプライチェーン(SC)・ソリューション事業を深化している。中長期経営計画、「Transform 2025」のスタートとともに2017年から本格的に体制を整備し、香港の中核部門が中心となって同事業初の商品として「物流最適化ソリューション」を開発、昨年に提供を開始した。6つの機能からなるデータベースをもとに、フォワーダーとしての国際輸送の経験と知識を具現化した付加価値のあるソリューションとして販売し、米中貿易摩擦のリスク減少に向けた物流提案などで導入事例も出てきている。

同社は15年、同事業の先駆けとなるSCソリューション課を本社に新設してマーケティングや事業準備を進め、17年に発表した同年~25年までの中長期経営計画、「Transform 2025」で、「成長ロードマップ」の重点テーマとしてSCマネジメント事業の設立を掲げた。

昨年7月に香港にSCソリューション部を設置し、グローバルでSC関連の商品開発を開始。先月、グローバル企業戦略と方向性を策定する「グローバル・ヘッドクオーター(GHQ)」を設置すると、香港のSCソリューショングループを中核に定め、日本は15年に設置したSCソリューション課を日本地域事業・営業推進本部の開発営業部の傘下とし、体制を整備した。

SCソリューション事業として初めて、対外的に商品化したサプライチェーンマネジメントを支援するソリューションは、17年11月にプロジェクトを立ち上げた。外資系フォワーダーを中心とする競合他社の動向を含む市場調査やシステムベンダーの選定、機能の比較・検討を経て、昨年4月にデータベースを完成して稼働。検証を重ねたうえで、同8月に日本以外の世界4極、同9月に日本で顧客向けに提供を始めた。

<6機能、定量・定性的に分析>
データベースは「品目分類(HSコード検証)」「関税率・原産地規則検索」「取引禁止対象者スクリーニング(企業や制裁・禁輸国の洗い出し)」「調達コスト試算(輸送費・関税・保険料などを含む総調達コスト)」「貿易統計分析(主要輸出入国のマーケット情報)」「調達コスト予測分析(為替や将来の協定税率も加味)」の6機能がある。複数のベンダーのシステムを掛け合わせ、案件ごとに最適な機能を活用している。

調達コストにかかわるソリューションでは、荷主から課題をヒアリングした後、前提となるさまざまな数値をデータベースから引き出すとともに、顧客からの貨物・輸送の情報に、現在や将来の見通しを含む輸送費、関税、保険料など発着地の総コストを算出して分析し、適切な解決策を講じる。

単純にベンダーからのデータだけを活用するのでなく、各国の物流現場の実態に合わせるなどして、最適なコストを見極めて戦略を練る。日本のSCソリューション課の中村和秀課長は「データベースによる定量的分析だけでなく、当社の物流の知見や経験をもとにした定性的分析を加えて総合的なソリューションを提供する」と説明する。

同社顧客である米国の医療用品メーカーに対して昨年、同ソリューションを利用した提案を実施した。郵船ロジが定期的に物流課題の調査・見直しを行っていたが、米中貿易摩擦により、中国発米国向け海上輸送の追加関税の影響が不透明となった。そこで、郵船ロジが同ソリューションを適用。将来にわたる関税の影響額を試算したうえで、回避するための適切な出荷の前倒し時期と洋上在庫なども含む物流計画をはじき出し、P/O(出荷指示書)の準備ができた段階ですぐに輸出するなど適切な対策を講じた。

一方、別の機能である取引禁止者のスクリーニングは一般的に、荷主が自社で行っているが、貿易に対するコンプライアンス意識が世界的に高まる中で、シュミレーションできる項目に加えることで、提案の範囲を広げていく狙いだ。

SCソリューション事業で初めてとなる商品化にあたっては、同事業の担当者が各地の営業担当者の顧客訪問に同行を続け、現場の声を拾い続けながら、物流・貿易のマーケットの調査や傾向の分析も並列して行い、その形を模索してきて、現在の内容となった。

販売開始から半年超、日本でも各地の営業店から反応があり、荷主からの問い合わせが続いているという。日本のSCソリューション課の誕生時から所属する中村課長は「顕在化する荷主の課題はそう多くはなく、ほとんどは潜在的なもの。営業担当者とともに掘り出し、一緒に提案にあたっている。世界的なFTA(自由貿易協定)の広がりやさまざまな国際問題で、SCはグローバル化、複雑化している。物流会社の役割も広がる中、さらに付加価値の高いソリューションの提供に努めたい」と話している。


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