経営者インタビュー「物流最前線をみる」

新物流センターで効率化推進、中部横断道の静岡直結に期待

経営者インタビュー ~物流最前線をみる(9)~
ILRS-NEWS Vol.459

 

株式会社福島運輸 福島 良 代表取締役専務

御社にとって重要な経営課題は何か。

(福島専務)来年3月竣工で本社隣接地(山梨県笛吹市)に建設中の3温度帯の新物流センター(敷地面積3000坪、床面積1200坪)をいかにうまく運営していくかだ。現在は本社倉庫(床面積1000坪)で、他社との共配をアライアンスでやっているが、これをもう一歩進めてクロスドックまで大々的にやっていきたい。当社は首都圏から山梨、長野までの車を数多く走らせていて、この中間点で他社とクロスドックできるようになれば、ドライバーの超過勤務時間を削減でき、運営も効率化できる。他社にとっても東京~長野間で4時間かかるのが、ここまでなら2時間で済み、時間的な効率化がはかれる。

課題としてもう一つは企業イメージを向上させ、物流企業をブランド化して、働きたい業界にすることだ。トラックドライバーは粗っぽいイメージがあり、人手不足の中でそれを払しょくし、イメ-ジアップをはからないと将来的に若い人がますます来なくなる。当社ではスーパーマーケットの食品を取り扱っていることもあり、ドライバーのマナーを社内規則で設けて、例えば喫煙禁止やネクタイ着用を義務付けるなどしている。また、トラックも一目でわかるように青のコーポレートカラーで明るいイメージを作っている。

― 安全対策はどのように行っているか。

(福島専務)出勤は静脈認証型のタイムカード、アルコールチェックは免許証連動型の機会を導入している。免許証連動型とは免許証を置かないとアルコールチェッカーのスイッチが入らず測定開始ができない機器で免許証の有無、有効期限と共にアルコールチェックが実施できる。機械で検査を行うので、人によって判断がブレるなどがなく、安全度が向上している。

また、タコグラフはドライブレコーダー一体の通信型のデジタルタコグラフを使っている。社内制限速度を設定していて速度超過時や急ブレーキなどの異常運転時には運転席に音声警告が発せられるのと同時に事務所にも通知が届く。

ほぼリアルタイムにドラレコ画像を吸い上げて見られるため、危険運転やヒヤリハットをとらえられる。通信型のためデータ管理はクラウドを利用しており、自社でミスなく保管できる。ドラレコは多方面5カメラ搭載型を採用しており、何かあってもドライバーの状況が確認可能だ。ドライバーにはカメラが回っている緊張感があり、安全運転を自覚してもらっている。

教育研修面では12の安全項目の学習を年間通して行っているほか、月1回の定例ミーティングでは、大小にかかわりなく、ヒヤリハットの事例を取り上げ、ドライバーに共有してもらう。ドライバーコンテストにも積極的に参加してもらい、安全意識の向上をはかっている。

― 今後の事業拡大が見込める分野は。

(福島専務)中部横断道路の工事が進んで、間もなく山梨と静岡間が開通する。現在は富士川沿い片道1車線の52号線がメインで、静岡まで2時間はかかるが、横断道路が完成すると30~40分は短縮できる。東名自動車道に直結するので、山梨の物流が大きく変わるとみている。これまでは隣県なのに物流がつながらず、多数が都心を経由している。

水産品分野では、いまは築地がメインでまだ少ないが、清水、沼津から直接入ってくることになる。こうした変化を当初は外部から山梨に会社が入ってきて競争が激化するのではと脅威に感じていたが、今は逆にチャンスだと思っている。山梨の貨物を当社に集中して任せてもらえば、帰りに静岡の貨物を取り易くなる。静岡の車が来ればアライアンスを組んで持って帰ってもらえる。

また、清水港の海上コンテナ輸出入も需要が見込め、新物流センターで保税蔵置場の機能が持てるか検討中だ。山梨にはワイナリーが多く、最近は日本酒の酒蔵も輸出が増えている。

― 今後行政や業界団体に何か言いたいことは。

(福島専務)ドライバーの労働時間規制には当社も一生縣命取り組んでいるが、物流業界といっても路線便からラスト1マイル配送まであり、多様で一括りにはできない。自動運転も高速道路ではできても町中ではまだ無理だ。また、軽貨物車の個人事業者は、ドライバー扱いするという解釈が出た。軽貨物の個人事業者の場合、自分の頑張りで稼げるメリットが大きいのだが、これをドライバー同然に規制するとデメリットの方が大きくなり、この分野もなり手がいなくなるのではないか。

さらに業者ばかり厳しく規制指導せず、荷主にも実効力を持って強く働きかけをしてほしい。実際に先のゴールデンウィークでも荷待ちで多大な時間を待機させられた。この業界は荷主が動いていただかないと何事もクリアできないが、業者から荷主に強く言える環境にはいまだなっていない。かつて公正取引委員会がメーカーの優越的地位による賃金未払いに独占禁止法を適用したように労働時間規制も国から荷主に強い働きかけが必要である。

働き方改革は今までサービスの一言で済まされていた付帯業務を物流事業者の実績として収益化する事や納品条件の適正化を図るために荷主と交渉するチャンスでもある。

(聞き手:葉山明彦)


株式会社福島運輸
山梨県笛吹市境川町藤垈3270-5

代表取締役専務  福島 良
ホームページ https://www.fukushimaunyu.co.jp/

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