経営者インタビュー「物流最前線をみる」

まだ再建途上、売上・利益確保を / 物流業は拡大、人が来る業界に

経営者インタビュー ~物流最前線をみる(16)~
ILRS-NEWS Vol.473

 

株式会社OPAL 矢野社長

御社の会社紹介をしてほしい。

(矢野社長)もともとは運送、倉庫を中心としたレナウンの物流子会社で慢性的な赤字だった。私は企業再建の仕事をしてきたこともあって、9年前にファンドから経営再建を要請されてこの会社の経営に就いた。その後、3年で黒字化したが、ファンドとレナウンの契約が5年間で、それ以上延長できないということになり、私と役員がMBO(マネジメント・バイアウト)で株式を引き受け、銀行の協力もあって今日に至っている。拠点は習志野、新潟、三田(兵庫県)の3カ所にあり、社員は約50人だ。

― 再建の経緯をお聞きしたい

(矢野社長)当初は受けた仕事を流すだけ、無理な注文は受けず、利益を上げることなどまったく考えないような社内体制だった。このため利益をあげる大切さ、総売り上げを合算して日々の利益を考えたり、倉庫スペースを有効活用することなど、ビジネスの基本から教育していった。さらにファンドが離れた3年前からは別会社を創業したようなものだった。とにかく販路を広げなければならないので、現場の人たちに営業活動も協力してもらい、外販拡大に励んだ。お客様ごとの事情に対応し、1つでも多くの荷物をいただくよう頑張っている。現在、顧客数は100社を超え、レナウン系の顧客は1割程度になった。

御社にとって経営の最重要課題とは何か。

(矢野社長)再建はまだ途上で、売上を確保し利益を出すことに力を注いでいる。営業はとても苦労しているが、自分たちが物流会社を作り上げていくというモチベーションを持って頑張っている。

― 安全対策強化や働き方改革の推進など物流会社の経営をとりまく環境が変化しているが、どのように考え対応されるのか。

(矢野社長)目先をみるとたいへんなことばかりだが、働き方改革は労働環境をよくする方向にどんどん進めて、一方で改正貨物自動車運送法等で収益環境が改善され給料が上がればいいことに間違いない。私は昨今のBtoCの拡大から物流業界は郵政規模がもうひとつくらい必要になるとみており、それには人材が必要だ。物流業界もAIやIoTなど取り入れていかねばならず、IT系と合体した業態に変わっていくには人材が不可欠で、人が来る業界にすることが急務だ。国が率先して労働時間の改善を促し、運賃・料金を上げる方向で給料に反映できるのなら取り組まねばならないという考えだ。

(聞き手:葉山明彦)


株式会社OPAL
東京都中央区八丁堀3-9-7 泰和ビル3階

代表取締役 矢野 三興
ホームページ http://opal-logi.com/

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