経営者インタビュー「物流最前線をみる」

働き方改革、顧客の理解得て実現を 五輪時は抜本的な物流対策が必要

経営者インタビュー ~物流最前線をみる(21)~
ILRS-NEWS Vol.483

 

 

 

(一社)東京都トラック協会 浅井会長

 

東京都トラック協会がいま最も力を入れて取り組んでいる課題は何か。

(浅井会長)「働き方改革」だ。2023年度までに総残業規制の水準まで到達せねばならず、会員各社はいま必死に取り組んでいるが、各社事情は異なりながらも総じて簡単にできることではない。協会としては9、10、11月とセミナーを開催するなど支援体制をとっているが、今後も必要に応じて随時やっていきたい。

東京都の場合は配送主体の会員が多く、クリアし易そうにみられるが、単体で努力してできるものでなく、顧客のご理解・ご支援が不可欠で実態はなかなか難しい。ホワイト物流の提唱など浸透しつつあるので、これらを踏まえて顧客と相談しつつ改革を推進していきたい。

人手不足の問題はどうか。

(浅井会長)この問題はトラック業界だけではないが、特にトラック業界は若い人に目を向けて労働条件を改善していかねばならないと思っている。運転手は高齢化が進み、定年を超えて65歳はもとより、70歳以上も増えている。ただ、高齢者は健康面で問題が出る頻度が上がり、目の疲労なども影響が出てくる。身体の適性をみて現実的な対応が必要だ。女性運転手の拡大では環境整備が必要で、荷役改善などでサポートすべく、パワースーツの研究などもしている。

また、外国人労働力の活用も会員から要望があり、全日本トラック協会も取り組む項目に入れていて、我々もこれから研究していく。現状では日本の運転免許取得が難しいため、外国人ドライバーを使っているケースはまだ見ないが、フォークリフトなど構内作業では外国人を使っている社が増えてきている。

安全対策については。

(浅井会長)安全対策には長年力を注いできたが、警視庁管内における会員事業者が関与した第1当死亡事故は一昨年、昨年とそれぞれ1件だけしかなかった。近年は安全装置車の普及でドライブレコーダーはみな装備し、大型車ではブレーキの自動軽減装置もついた。残るは大型車の左折時における死角の巻き込み事故をどう防ぐかこの対策を研究していきたい。

それと協会としてグリーンエコプロジェクトに14年くらい取り組んでいるが、これもある面、安全対対策につながっている。各社からいただいたデータをまとめて分析し、個別各社にフィードバック、有効に使ってもらっているが、これに加入している社は事故率が少ない。ドライバー自ら記入するので参加意識が高まり、事故防止につながっている。

― 先日、浅井会長が東京商工会議所の1号議員に再選された。東商ではどのような活動をされるのか。

(浅井会長)東ト協で東商の議員になったのは私で三代目だ。活動としては第一に、この組織を通じてトラック業界を他に広く理解してもらうことである。われわれは国民生活を支える重要な仕事を担っているが、人手不足も加わり末端までのサービスで消化できないケースもままある。重要性と現状を正しく理解していただくようPRしていく。

次にめまぐるしく変化する技術革新の情報をいち早く仕入れ、トラック業界に知らせることだ。最近ではAI(人工知能)やIOT(モノのインターネット化)の進展が早く、この10年以内にトラックの自動運転も実現しよう。幹線はいつ実現し、それが配達まで実現するのか、10年後にドライバーは余るのか、東商ではそうした情報を他より早く得られる機会も多いと思うので情報収集に力を入れていく。東商各区支部では東ト協会員もけっこう活躍していて支部幹部もいるので、活動をさらに活発化させていってほしい。

― 今年も師走になり、余すところあと1か月を切った。最後に来年の抱負をお聞きしたい。特に来年は東京オリンピック・パラリンピック(五輪)が開催される年でもある。

(浅井会長)東京五輪については開催中、一般道路の混雑で日常の物流に支障が出るのを懸念しており、自家用車を制限する方向で取り組んでもらいたい。我々もユーザーとともに抜本的な物流対策が必要なことを強く訴えていきたい。人が増えれば物流も増え、特にコンビニエンスストアなどはバックヤードがなく混乱が予想される。期間も2週間と長く、東京港もあるため生活物資をどうするのか、心配はつきない。

景気を見通すと五輪後の落ち込みが心配だが、そうならないことを願っている。抱負としては、労働環境が改善され、ホワイト物流が進展して我々の業界もよくなるよう応援したい。東ト協内部も改革を進める。今年は災害が多かったが、組織そのものを簡素化し緊急時にスピーディに連絡、対応できるよう、備えあれば憂いなしのつもりで取り組む。

― 来年は5月に当社主催の「ジャパントラックショー2020」も開催される。トラックショーに期待することがあれば。

(浅井会長)最新の車両、架装、製品、メンテナンスなどの展示がいろいろあるのでためになる。特に技術的にも最先端の製品を紹介してほしい。日本の車両メーカーは2社となってしまったので、海外からの出展も多ければ楽しい。環境問題でトラックに生じる不具合をどうクリアするか、示唆がほしい。多くの出展社が出て多くの情報を得られる盛大な会となってほしい。

(聞き手:葉山明彦)


一般社団法人東京都トラック協会
東京都新宿区四谷3-1-8

会長 浅井 隆
ホームページ  https://www.totokyo.or.jp/

株式会社浅井 
ホームページ http://asai-e.co.jp/

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物流会社がいま何を問われ、何を最重視して取り組んでいるのか。また、安全対策は…、社員教育は…。いま直面する問題にどのように対応しているのかを経営者に直接インタビュ-し、生の声をお届けします。

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