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東京港 混雑解消へ荷主に搬出促進を要請 年末年始・五輪控え対策加速

Daily Cargo  2019年12月11日掲載

 

年末年始の長期連休や来夏の東京五輪・パラリンピックに向けて、港湾関係者、船社、コンテナドレージ事業者などによる東京港の混雑対策が加速している。年末年始には大井ふ頭におけるストックヤードの実証実験と、全コンテナターミナルを対象としたゲートオープン時間の延長トライアルが行われる。一方で、「東京港の貨物量はターミナルの処理能力を大きく上回っているが、そもそも混雑の一因として長期蔵置貨物の影響が大きい」と指摘する声も多い。貨物が滞留し、ヤード内の荷役作業効率が落ちることで、ゲート前混雑やヤードの貨物滞留がますます悪化するという悪循環に陥っている。国や東京港関係者は荷主などに対し、貨物の早期搬出を求めるほか、船社などに対してフリータイムとデマレージの適切かつ厳格な運用を要請している。「(混雑解消には)荷主の協力が必要不可欠。粘り強く呼び掛けていく」方針だ。

東京港の港湾混雑は長年の課題だ。昨年の外貿コンテナ取扱量は過去最高の457万TEUとなり、好調に推移しているが、ターミナルの処理能力不足やドレージ不足などの影響でゲート前の交通混雑の悪化や港湾内の荷役作業効率の低下を引き起こしている。こうした状況下で、臨海部を通行する大会関係車両が増える来夏のオリパラや、ゲートがクローズする年末年始・ゴールデンウイーク(GW)といった長期休暇を迎えると、「港湾物流機能がマヒするのではないか」(船社関係者)といった懸念の声も上がっている。

東京都港湾局や東京港埠頭会社など同港関係者も手をこまねいているわけではない。「東京港総合渋滞対策」に基づいて渋滞解消に向けた施策を相次いで打ち出しているほか、長期的には中央防波堤外側CTの整備や既存ふ頭の再編などを通じてターミナルキャパシティーを高めていく方針だ。

しかし、「長期蔵置貨物があることで本来のターミナルの処理能力を発揮できていない」との声も複数から上がっている。ある東京港関係者は「港湾を倉庫代わりのように使い、ターミナルに貨物を長期にわたって蔵置する荷主もいる。こうした長期蔵置貨物が荷役効率の低下につながっている諸悪の根源だ」と指摘する。「(ターミナルを倉庫代わりに使うことは)本来のCTのあるべき活用方法ではない。港湾物流を正常な姿に戻していくためには、五輪対策に限らず、永続的に長期蔵置貨物の解消を進めていく必要がある」といった意見も多く出ている。

こうした中、東京都港湾局と国土交通省港湾局は10月23日に連名で、同港の利用者に対して長期蔵置貨物の解消を要請する文書を発出した。東京都によると、「実入り蔵置貨物の1割程度は2週間を超えて蔵置されている」状況で、同文書では、「蔵置貨物量の適正化と荷役効率の改善には、長期蔵置貨物の解消が必要不可欠だ」と強調。その上で、全ての貨物を対象にフリータイムの延長を行わず、貨物の早期搬出に対する協力を求めるとともに、デマレージの適切な運用を要求した。

文書発出に加え、ターミナルからの貨物搬出促進に向けた取り組みとして年末年始には、24時間利用可能なストックヤードの実証実験と、全CTと多くのバンプールを対象としたゲートオープン時間の延長トライアルを実施する。ストックヤードの実証は8月の城南島での実施に続くもので、今回は大井ふ頭の既存施設を活用し、今月16日から来年1月31日まで行う。ストックヤードに貨物を一時仮置きすることで、ターミナルからの搬出を促して蔵置場所を分散化するとともに、臨港地区から荷主への配送を交通量の少ない夜間・早朝にシフトすることを進める狙いだ。五輪時には城南島地区、青海地区、中央防波堤外側地区にも設置し、計4カ所でストックヤードを運営する方針としている。

ストックヤード実証と合わせて実施するゲートオープン延長トライアルは、従来、午前8時30分から午後4時30分までのゲート業務時間を、早朝および夕方に拡大する取り組みだ。コンテナ貨物の搬出入時間の分散化を図り、ゲート前の待機時間の削減を狙う。

他方、前回8月の城南島でのストックヤード実証の際に、「荷主に相談しても、前向きな話にならない」(関東トラック協会海上コンテナ部会)という意見が上がっていた。これを受けて、関ト協海上コンテナ部会と東京都オリンピック・パラリンピック準備局、東京都港湾局は先月、3者連名で荷主に対する協力要請文書を発出した。「(ストックヤードの設置も踏まえ)トラック運送業界として物流の夜間・早朝シフトへの要請に対し、自社の車庫・倉庫などの活用も図りながら、対応策を検討していく」とし、荷主に対しても理解と協力を求めた。

「物流対策への協力に前向きな荷主もいる一方で、そうではない荷主も中にはいる。これらの荷主をどう説得していけるかが鍵となる」と東京港関係者は話す。

東京商工会議所が今年3月に会員を対象に実施したオリパラ期間中の交通・輸送に関するアンケートでは、80.3%の企業が大会期間中の交通輸送円滑化への協力に前向きだという結果が出た。しかし物流面では、ルート変更に伴うコスト増や、夜間・時間外への対応といった人の問題、取引先の理解・協力が得にくいことなど、さまざまな要因から、「必要性は感じるが、まだ対策に着手していない」企業も多いのが実情だ。「商品・製品の特性上、物流の変更対応が難しい」といった意見も出ている。

「今後、オリパラ開催が近づくにつれて荷主の対策も進むだろう」(東京港を利用する物流事業者)と楽観視する見方もあるが、「物流対策への協力をお願いしても今ひとつ反応が鈍い荷主もいる」(ドレージ事業者)のも現状だ。「荷主と港湾・物流事業者との間で五輪時の物流対策に向けた温度差が大きい」(船社関係者)との声も聞かれ、荷主の協力を地道に仰いでいく必要がありそうだ。


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