TOP INTERVIEW

定着率向上進め働き方改革に対応 / 運賃水準改善も荷役分離これから

TOP INTERVIEW(2)
ILRS-NEWS Vol.492

 

写真:トーヨー・ロジッテック(株)西岡社長

― 御社がいま取り組んでいる最も重要な経営課題は何か。

(西岡社長)働き方改革を進める中で人手の問題、特に地方は新卒が採れずドライバーの数も問題だが、長距離ドライバーの高齢化も進んでおり、まずこの対策に取り組んでいる。そして2024年に残業時間を年間960時間以内にしなければならない時にこれまでのビジネスモデルが続けられるのかをチェックし、現状で不可能なら社内の改善でできるのか、あるいは荷主の協力が不可欠なのかを洗い出していく。

地域の特色として四国中央から関東への長距離運送が多く、貨物は紙が中心なので手積み、手降しが多い。かつては繁忙期に応援が来ていたが、いまは手荷役が嫌われ波動期の対応ができなくなっている。現在の業務を継続していくためには乗務員が何人必要か原価計算し荷主に要求しなければならないので、まずは実体を把握し、対応策を考えていく。

― ドライバーの定着率向上ではどのような対策をとっているのか。

(西岡社長)過去3年の当社離職率はほぼ10%で昨年9%だった。業界平均よりはよいのだが、それでも1割やめられると業務に支障がある。いまの若者は給料より休日や福利厚生などを優先的に考える人が多い。週休2日には一気に持っていけないが、休暇取得は今年から自発的に取りやすい方策をとった。また、事故時のドライバー負担を昨年4月から全廃した。以前は無事故だと手当がもらえる半面、有責事故を起こすと保険免責部分の一部を負担していた。この制度廃止は反応がよく応募者が増えている。これからは企業が選ぶ時代でなく選ばれる時代だ。安心して働いてもらい、モチベーションが上がって結果的に事故が減ってくれればよいと思っている。

働き方改革の取り組みについては。

(西岡社長)有給休暇の消化について昨年段階から準備し、今年からスタートしている。従業員の中には年休消化よりも働きたいという人もいるが、最低限5日は取得してもらうべく、本人・家族の誕生日、結婚記念日、祭り、子供の休みなど優先取得日を設けて希望届を出すようにしていく。また昨年までは取得を調べるチェックが3か月に1回だったが、今年から2か月に1回とし、消化を促進していく。

― 次は運賃問題について。業界としてもここ数年、運賃改善に取り組んできたが、御社の取り組みと成果は。

(西岡社長)当社では一昨年から昨春まで主要荷主と改善協議を重ね、水準は改善をみられたが、約款改正の運賃と料金の分離は2年たってもなかなか進まない。何十年と続いた商慣習で急に運賃と料金は別だといっても納得できないし、もう一つは地場の紙産業は商品が種々バラバラで、運賃も荷役形態も異なるのがある。ただ、経済産業省が物流問題で食品加工、建設資材、紙パルプの3業種と協力して取り組むことになり、荷主も人手不足で運送がひっ迫した現状を理解しているので話はし易い環境にある。当社の場合、手降しに2時間かかり、手積みは荷待ちも同時にし、2か所立ち寄りがあると3時間以上かかることもあるので運賃と別に荷役・待機の料金をいただくことで荷主の理解を得ていきたい。

― 西岡社長は愛媛県トラック協会の副会長を務められている。協会活動の近況を教えてほしい。

(西岡社長)私自身は総務委員会、適正化事業委員会、経営改善委員会などいろいろな部会をやってきたが、協会が継続的に取り組んでいる問題で本州四国連絡橋の料金割引問題がある。全日本トラック協会が高速道路割引に取り組んでおり、我々は利用の当事者として本四高速の割引制度の拡充を関係各所に要望活動を展開しているが、本四の場合はNEXCO系高速に比べて割引率が低い。建設の経緯から元の料金が高いのは仕方ないとしても、NEXCO系高速の割引が40%くらいなのに対し、本四は8%だ。本四高速道路会社も民営化して15年ほど経つので、そろそろ考慮していただきたい。

愛媛県トラック協会として、もう一つ「トラナビえひめ」という求人のポータルサイトを昨年3月に立ち上げ、積極的に人材採用に取り組んだ。愛媛県は東予が造船、紙、タオル、松山など中予は観光、南予は漁業養殖、みかんなど果実の第1次産業と、産業が地域で異なる。それぞれの出荷品目から運送形態も千差万別だが、大消費地に向かう長距離運送であることは共通しており、人の確保がままならない悩みはみんな同じだ。各社個別での取り組みには限界があり、協会としてのプラットフォームを作ってこの問題に積極的に取り組むことにした。

―今年は5月に「ジャパントラックショー2020」が開催されるが、これに期待すること、あるいは要望があれば。

(西岡社長)トラックそのものの情報は普段でも入ってくるのだが、ITS(高速道路交通システム)などシステム系、特に5G世代になると通信コストが下がり、動態管理その他に普及し新たなシステムが紹介されることに期待が大きい。AI、IOTなど駆使すればドライバーだけでなく、事務職や点呼など現場での省人化ができる可能性もあり、そのようなシステムや製品があればとても興味深い。

(聞き手:葉山明彦)


トーヨー・ロジテック株式会社
愛媛県四国中央市村松町88番地

代表取締役社長  西岡  斉
(愛媛県トラック協会 副会長)

ホームページ http://toyo-logitec.com/

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