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中国新型肺炎「在宅観察」ドライバー確保に壁 駐在員安全確保を一層

Daily Cargo  2020年2月14日掲載

 

中国各地で都市部へ戻る人々の「在宅観察」が広がり、トラックドライバーの確保が一層困難になっているようだ。同国・武漢(湖北省)で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、各地の統制が続く中、一部都市では地元当局の要求もあるようで、企業などが自主的に外地からの従業員を14日、自宅待機させている。トラック運転手は出稼ぎ者も多く、足元の車両確保の壁のひとつとなっているもよう。外務省の早期帰国勧告で、日系企業は駐在員の安全確保を一層進めている。

10日に春節(旧正月)休暇の明けた中国で、企業は社員の安全を最優先に本格再開を模索している。中央政府は新型肺炎の「重点地域」からの帰還者や通過者に14日間の在宅観察を求め、都市によっては、同地域に湖北省のほか、浙江、広東の両省などを含めている地域もある。

上海など大都市を中心に、企業では自社から感染者を出さないため、防疫体制の継続のため、重点地域以外も含む、その都市以外の「外地」から戻った従業員を自主的に在宅勤務・管理とする取り組みが広がっているようだ。

在宅観察措置は企業だけでなく、各地区・村・居住地域単位や、小区と呼ばれるマンションなどの居住区、オフィスビルなどでも管理会社が個別に実施する動きがある。上海では「原則、強制されてはいないが、安全確保のために自主的に行っているケースが大半」(日系物流会社関係者)ともされる。

大都市の物流業では特にトラックドライバーのほか、倉庫などの作業員で、外地からの出稼ぎ者の比率が高いケースがある。従業員の自主的な14日間の自宅待機により、今月後半まで勤務できない例が増えているもようで、不足しているトラックの稼働の一層の遅れにつながっているとみられる。

中国各地で交通網の遮断、一部の都市封鎖、「封閉式管理」による外出規制などによる移動制限が続いている。同国交通運輸部は12日、救援物資や医療関係者などを運ぶ車両、農民工(農村部からの出稼ぎ労働者)を載せた都市部へのチャーター車について、車両の通行証手続きを簡素化し、それらの運転手は原則として14日間の隔離措置をしないと通達した。また重点地域のトラック運転手、荷役作業員、快逓(小包や文書のエクスプレス)配送員などは、マスクの着用、発熱していないことなどを条件に、同様に隔離措置をしないとした。武漢・湖北省の支援と、都市部の経済活動再開に全力を挙げている。

ただ、再開にあたって、企業は地元政府の防疫関連当局に申請し、オフィスや倉庫などの施設で業務再開の「許可」を得なければならないケースが多いようだ。マスクの着用や消毒液の配備、体温測定や消毒の徹底、春節中の滞在地も含む従業員の健康状態の情報の記録・登録、勤務時や食事で従業員間の距離をとること、人の集まる会議などを減らすことなどを求められ、審査に時間がかかることも再開の遅れにつながっている。

外務省は12日、中国在留邦人・海外渡航者に日本への早期の一時帰国や中国への渡航延期を至急検討するよう呼び掛け、湖北省に加えて、浙江省に滞在歴のある外国人などにも入国制限を拡大した。これを受け、今週までに中国に呼び戻した駐在員を、また日本に帰国させる動きがある。


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