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新型肺炎、地方空港への影響甚大 国際旅客便運航継続は9空港

Daily Cargo  2020年3月12日掲載

 

新型コロナウイルスによる肺炎の影響で航空会社の減便・運休が相次ぐ中、日本各地の空港の国際線ネットワークに甚大な影響が生じている。本紙調べによると、国際拠点4空港(成田・羽田・中部・関西)を除く税関空港(27空港)のうち、国際線旅客便の運航を継続しているのは9空港にとどまる。もともと日本各地の空港に就航する航空会社にはローコストキャリア(LCC)も多く、貨物を取り扱っていない路線もあるが、日本発着の貨物スペースに制約が生じている状況だ。国際航空物流維持の観点からは、国際拠点空港との内際接続ネットワークの確保、不定期便を含む貨物便の活用が課題となる。

国際拠点4空港を除く空港を「地方空港」と区分。国土交通省や各空港ビルなどへの聞き取りをもとに10日夕方から11日午前時点の国際線旅客便の就航状況をまとめた。日本政府は9日から、香港・マカオを含む中国、韓国との国際線旅客便の到着空港を成田および関西に限定する措置をとっている。

国際線旅客便の運航が継続している地方空港(カッコ内は就航都市)は、新千歳空港(台北、バンコク<ドムンアン、スワンナプーム>、シドニー、クアラルンプール、ホノルル、マニラ、ヘルシンキ)、茨城空港(台北)、岡山空港(台北)、広島空港(台北、シンガポール)、高松空港(台北)、福岡空港(台北、高雄、マニラ、バンコク<スワンナプーム、ドムンアン>、ハノイ、ホーチミン・シティ、クアラルンプール、シンガポール、ホノルル、グアム)、宮崎空港(台北)、鹿児島空港(台北)、那覇空港(台北、高雄、クアラルンプール<台北経由>)。

就航路線で目立つのは台湾線。これに東南アジア路線が続く。ホノルル線やグアム線、ヘルシンキ線の運航も継続されている。就航は継続しているものの、減便している路線も見られる。運休措置は現時点で3月末まで、としている例が目立つものの、夏までの運休を想定している路線もある。さらに今後、新たな運休・減便、運休期間を延長する路線が出てくる可能性もある。

新千歳や福岡といった規模の大きい空港は複数の国際線旅客便ネットワークが維持されているが、そのほかの空港は1~3都市との間の運航にとどまっている。なお北九州空港や小松空港、那覇空港には国際貨物便が就航している。

日本各地からの輸出に際して国際拠点空港を活用する場合にも、国内航空便の減便が見られ始めていることが懸念材料だ。航空による内際転送に影響が生じることが想定され、トラックによる横持ち輸送が頼みの綱となる可能性もある。

地場産品の輸出に際して地元空港を積極的に活用する取り組みが進められてきた空港もある。新型肺炎によるネットワークの棄損は大きな痛手だ。地方空港の利用促進の観点からは、国際拠点空港への貨物集約が進むことも課題となりそうだ。

政府は訪日外国人旅行者の受け入れ拡大を政策の柱の一つとして、2020年の4000万人、30年の6000万人を目標に掲げている。インバウンド推進で地方創生につなげることが重要な施策となっているが、日本各地と世界を結ぶ流動が遮断されており、4000万人の目標は困難な状況に陥っている。国管理空港を中心に運営権の設定・民間委託(コンセッション)も進められているが、新型肺炎による国際線ネットワーク縮小が、民間空港運営会社の経営に与える影響も避けられそうにない。


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