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JRコンテナ、苫小牧→富良野を強化 / 適正な運賃、拒否なら断る勇気も必要

TOP INTERVIEW(5)
ILRS-NEWS Vol.498

富良野通運株式会社 藤田会長


 昨年、富良野通運の社長を交代されて会長になられた。

(藤田会長)会長になって経営はほぼ社長に任せ、地域活動に力を入れているが、運送業の環境も難しい局面が続いており、諸問題に気をぬけないのが現状だ。

― 事業拡大ではJR貨物の取り扱い拡大に取り組んでいたが。

(藤田会長)長年、富良野から農産物の道内輸送を主力にやってきたが、近年、札幌に進出してJR貨物のインバウンドに取り組んできた。道内物流を志向してトラックでなくJRコンテナで釧路まで運ぶほか、新たに苫小牧から富良野までJR復路輸送のコンテナ輸送を強化したい。ただ、トラックとの競争が激しいため特別運賃をJR貨物と交渉中だ。

以前から続く人手不足の問題の近況は。

(藤田会長)当社にとっても富良野にとってもなお人手が足りない状況にある。募集の仕方はいろいろあるが、富良野商工会議所が低家賃住宅を作り、ガイドブックに載せて移住体験してもらうなどもやっている。市と会社の両方が補助を出し、1Kだと1万円強で入居できるなど生活環境を整えて就職も斡旋する。当社としては富良野以外にも札幌に拠点があり、両方で採用活動している。若い人には費用を貸して大型運転免許を取得してもらい、5年間で返済してもらう。定年は65歳でその後は再雇用して構内作業や安全管理などの業務のほか、短距離ドライバーをやる人もいる。

― 会社として働き方改革にはどう取り組んでいるのか。

(藤田会長)有給休暇の消化は以前から推進してきたが、国から5日は必ず取るように言われているので、本社と札幌営業所ともに家族都合を優先する消化カレンダーを作り、取得を促進している。

また、4月から受動喫煙が禁止され屋外にも喫煙所が置けなくなるが、20歳未満の人は喫煙ドライバーと同乗できなくなるので、トラックを喫煙者、禁煙者に区分けしなくてはならない。このほか同一労働同一賃金は来年の課題となるが、前向きに取り組まざるを得ない。

―トラック運賃問題で、国は今春にも標準的な運賃を展示するという。

(藤田会長)トラックの運賃は下がるところまで下がっており、人手不足の中で標準的な運賃をノーという荷主がいるのなら運送会社は断る勇気を持てと言いたい。ただ、無暗に断るのでなく、しっかりと原価計算し、こちらのコストも努力してこれだけ下げた、客にもこう合理化すれば下がると説明するのが前提だ。こうすれば他社と比べてどうかを考えてもらえ、こちらも断る勇気が持てる。当社はこの1~2年、こうした姿勢で荷主と交渉してきた結果、やめた会社もあるが、値上げしていただいた会社もある。最近は運賃の話が新聞などでも取り上げられ、値上げを理解していただくことも多い。

― 地域活動としてはどのような活動を行っているのか。

(藤田会長)市の総合政策の委員や観光税を検討する座長などやっている。いま市で問題になっているのが少子高齢化だ。農業と観光業が主体なので繁閑期の差が激しく、年間雇用できる企業が少ないので、人手が足りず食堂経営もできなくなっている。先ほどの移住対策住宅の建設など環境は整えてきたが、富良野特産品の生産者を増やし、もっとメード・イン・フラノの生産・販売を増やしていく一方、市の規模を拡大しようと思わずダウンサイズして市民が幸せになる、コミュニティーのある町を作っていく方向を考えている。

― 最後に、今年5月に「ジャパントラックショー2020」が開催されるが、要望や期待する事があれば。

(藤田会長)一言で言えば、いまのためにあるトラックショーというより、未来をのぞけるトラックショーにしてほしい。そのためにはAI(人工知能)やIoT(物のインターネット化)など使ったイノベーション、人手不足がどうなれば解消されるのかの解析など知りたいことを提示してほしい。みんな将来に対して不安があるので、明るい未来を示唆してくれるトラックショーになってほしい。

(聞き手:葉山明彦)


富良野通運株式会社
北海道富良野市朝日町13番6号

代表取締役会長  藤田 均
(富良野物産観光公社 代表取締役社長)

ホームページ http://www.furano-exp.jp/index.html

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