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IT総合戦略 港湾物流のスマート化・非接触化推進 コロナでDX加速

Daily Cargo  2020年7月21日掲載

 

政府は17日、世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画の変更を閣議決定した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを加速するほか、行政のデジタル化の徹底を掲げた。港湾分野では、港湾関連データ連携基盤の稼働を通じて、港湾物流のスマート化や遠隔・非接触化の推進に取り組むとともに、人工知能(AI)を活用したターミナル運営により、さらなる効率化を進めていくことを盛り込んだ。

港湾関連データ連携基盤については、今年中に構築する方針だ。連携・受け入れテストの後、2021年度からシステムを稼働することを盛り込んだ。港湾の電子化(サイバーポート)推進委員会で利用規約の検討を行うとともに、利用者の拡大や運営体制確立に向けた取り組みを進める。同基盤の稼働により、民間事業者間での情報の再入力・照合作業の削減や、トレーサビリティの確保による港湾物流の生産性向上を目指す。今年度の早期には、港湾管理と港湾インフラ分野への同基盤の拡張・連携を視野に入れた新たな検討体制を立ち上げる。港湾管理者の利便性向上や、管理の効率化と施設情報の効果的な利用につなげていく。

ヒトを支援するAIターミナルの実現に向けては、23年度中にコンテナ船の大型化に際しても、運航スケジュールを順守した上で、外来トレーラーのゲート前待機をほぼ解消することを目指す。具体的には、横浜港で実証を行っている港湾物流システム「CONPAS」について今年度内の本格稼働を目指す。港湾関連データ連携基盤と連携し、搬入票の電子化によるゲート処理の効率化と安全性・セキュリティー向上の両立を図る。

また、国土交通省港湾局では現在、ターミナルオペレーションの最適化など、AIターミナル高度化実証事業を実施している。今年度中にAIを活用したターミナルオペレーションの最適化に資するシステムを開発する。同システムを使い、荷繰り回数の最小化に関する改善効果などについて明らかにする。コンテナ蔵置場所の最適化は20年度まで、熟練技能者の暗黙知の継承とコンテナダメージチェックは21年度まで実証などの取り組みを行う。

荷役機械の遠隔操作化・自働化については昨年度、支援制度を創設した。今年度分の支援事業は7月末まで募集しており、国として遠隔操作RTGの導入を促進したい考えだ。一方で、導入に当たっては港運中央労使での協議が継続中となっている。今月29日午前にワーキンググループが開催される予定で、協議の成り行きが注目される。外来トレーラーの自働化については、今年度から横浜港・南本牧ふ頭「MC-1/2」で実証が行われる予定となっている。

農林水産業との連携強化も図る。19年4月から本格運用を始めた農業データ連携基盤(WAGRI)との連携を通じて、スマートフードチェーンを構築。港湾における農水産物の輸出拠点機能を高めていく考えだ。


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