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IT人材不足と既存システムの複雑さ課題 SHIFT・物流DX推進状況調査

Daily Cargo  2022年7月14日掲載

 

ソフトウェアサービスを手掛けるSHIFT(本社=東京都港区、丹下大代表取締役社長)はこのほど、物流業界でのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の取り組み状況を調査し、結果を公表した。同調査によると、回答した企業の半数以上がDXの取り組みを推進している。他方、既存システムの複雑さやIT人材不足がDX推進の課題になっているという。

物流業界に所属する企業の経営・ビジネス企画、ソフトウェア・システム開発にかかわる役職者を対象にDX推進の取り組み状況を調査した。調査実施時期は2021年12月上旬。有効回答数は420人。調査結果は調査レポート「物流業界におけるDXの実態調査(物流DXの推進状況と課題)」にまとめた。

DX推進に関しては回答企業の7%が「取り組みが完了した」、26%が「現在取り組んでいる」、23%が「取り組む予定がある」とした。回答企業の半数以上がDXを推進していると分かった。「ドライバー不足や環境規制対応など多くの課題があり、業務効率化や生産性向上を実現するDXに期待が寄せられている」(SHIFT)という。

他方、DXを推進する上での課題については、既存システムの保守性や人材不足が挙がった。「IT人材が足りない」が24%と最多で、次いで20%が「DX推進のノウハウを持った人材がいない、少ない」、14%が「レガシーシステムがボトルネックになっている」と回答した。そのほかに「推進できる体制がない」などの回答もあり、人材面を課題に挙げた企業は57%を占めた。また、既存の複雑な物流システムを課題に挙げた企業も27%と多かった。「物流DXでは、サプライチェーン全体での最適化が求められる。商流と物流を連携させるため、システムが複雑化しやすく、これまでに築いた複雑なシステムで保守性に問題があるとDX推進の妨げになる恐れがある」(同)という。特にソフトウェアのアドオン・カスタマイズによる基幹システムの複雑性が増していることが予想されるとした。

人手不足の課題に対して導入または検討しているテクノロジーについては、回答企業の29%が「クラウド」、26%が「IoT」、25%が「AI」と回答した。これらは、インフラ基盤の変更やデータ統合を伴うと予想されている。ただ、既存システムが複雑化している状態を放置している場合、特に多くのアドオンやカスタマイズを伴う状況では、DX推進の妨げになるという。

また、DX推進企業では、基幹システムの複雑化やサイロ化を課題とする企業も多かった。基幹システムの状況については「ソフトウェアのアドオン・カスタマイズにより複雑化」が33%で最多。次いで「既存システムが事業部ごとに構築されて複雑化(サイロ化)」が29%だった。基幹システムがサイロ化していると、全体最適が難しく、新しい取り組みを進める上でも管理コストが増大するおそれがあるという。


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