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DHLグループ 中東に5億ユーロ投資で基盤強化

Daily Cargo  2025年6月13日掲載


DHLグループは11日、中東地域に5億ユーロを投資すると発表した。国際事業を担うエクスプレス、グローバルフォワーディング、サプライチェーン、eコマースの4部門で2024年から30年にかけて投資し、物流基盤を大幅に強化する。アジア、欧州、アフリカの結節点として同地域の戦略的な重要性が高まる中、ネットワークやキャパシティの拡大とサービス向上により顧客のサポートとレジリエンス確保につなげる。

DHLエクスプレスは、ハブやゲートウェイ施設と航空キャパシティ拡大への投資を通じ、サービス効率と配送速度の向上を図る。5億ユーロの投資計画に含まれているかは明らかではないものの、昨年5月にはUAEのザイード国際空港(旧アブダビ国際空港)で新たなGWを開設。6月にはバーレーン国際空港のハブの拡張工事が完了した。投資額は2億1800万ユーロ。敷地面積は5万4000平方メートル。12機の航空機が駐機可能だ。同地域のエアハブとしてはまた、UAEのシャルジャで長く運営している。

DHLグローバルフォワーディング(DGF)は、同地域全体でのプレゼンスを拡大し、電気トラックを含む車両に投資する計画だ。また、接続性と物流機能強強化のため、UAEの国鉄ネットワークの開発・運営会社であるエティハド鉄道を始めとする合弁事業でのイニシアチブを追求する。エティハド鉄道とは23年5月、戦略的パートナーシップを締結したと発表。20年間の長期契約を結び、両社で合弁会社を設立。トラック輸送からのモーダルシフトを推進し、環境負荷軽減など同国での持続可能な物流に取り組む方針としている。体制面ではDGFが昨年1月、ドバイのアル・タイヤ―・グループとの合弁会社であるダンザスAEIエミレーツの全株式を取得し、同社との統合が完了したと発表した。約1100人のダンザスAEIエミレーツの従業員と、ドバイを中心としたUAEでの施設20カ所が加わり、ブランド名も「DHL」に一本化した。

DHLサプライチェーンは、UAEとサウジアラビアでコントラクトロジスティクスを拡大する。倉庫キャパシティの拡大や設備のアップグレード、高度なテクノロジーへの統合による業務最適化に投資する。直近では昨年2月、サウジアラビアのエネルギー大手サウジアラムコ(以下、アラムコ)と合弁会社「Advanced Supply Management Operations」(ASMO)を設立したと発表した。製造業やエネルギー、化学品、石油関連の企業に向けた物流ハブを開発する。

DHLeコマースは昨年2月、サウジアラビアの投資会社「アジュラン&ブラザーズ・ホールディング」と、同社が21年に設立した地場物流会社「AJEXロジスティクスサービス」の少数の株式取得契約を締結したと発表した。合わせて過半数の株式保有のオプションも確保した。AJEXはサウジ国内で50を超える物流施設、900台超の車両および1500人のスタッフを抱える。DHLが事業をリードする方針で、国際関連の専門知識を提供するとともに、取締役会に代表を出す。急成長する市場でラストマイル配送サービスの向上を促進していく方針だ。

5億ユーロ投資の明確な全体像は明らかではないモノの、国際事業を担う4部門を通じて、エクスプレス、航空・海上フォワーディングと陸送、フルフィルメント・配送サービスやヘルスケアおよびバッテリー物流など産業に特化したソリューションを提供していく。22年2月にはドバイのアル・マクトゥーム国際空港近くにあるドバイ・ワールド・セントラルのロジスティクスエリアに電気自動車(EV)専用倉庫「EVセンター・オブ・エクセレンス」を開設している。敷地面積は6万平方メートル。DHLグループとして初の危険物専用倉庫だった。当時、大手国際物流事業者では世界初のEV専用倉庫だったと見られる。世界各地のサプライヤーからドバイ向けのEV関連品の補充、中東地域のディーラーへの出荷、リバースソリューションやリサイクルまで手掛けている。


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