LA港 7月は過去最高の102万TEU 前倒し輸入で好調
Daily Cargo 2025年8月15日掲載
米国最大のコンテナ港湾であるロサンゼルス港の7月のコンテナ取扱量が100万TEUを上回り、過去最高を更新した。ロサンゼルス市港湾局が現地時間13日に発表した。米国の関税政策が変化する中、関税の引き上げを懸念した小売事業者などの荷主が前倒しで輸入を進めたことが主な要因となる。ロサンゼルス市港湾局のジーン・セロカ局長は13日の記者会見で、「船混みやふ頭の混雑もなく、遅延なしで処理することができた。港湾労働者やターミナル関係者、鉄道事業者、トラックドライバー、サプライチェーンパートナーの功績と言える」と述べた。
ロサンゼルス港の7月のコンテナ取扱量は、前年同月比8.5%増の101万9837TEUとなった。100万TEUを上回るのは、コロナ禍の影響で大幅に物量が増えた2021年5月(101万2048TEU)以来、2回目となる。セロカ局長は7月中旬時点の前回予想では約95万TEUとなると見込んでいたが、想定を上回り、単月実績として過去最高を更新した。過去5年平均との比較でも18%増となっている。
内訳は、実入り輸出が5.8%増の12万1507TEU、実入り輸入が8.5%増の54万3728TEU、空コンテナが9.6%増の35万4603TEUとなった。月間の実入り輸入コンテナ取扱量も過去最高を更新した。
入港船舶数は107隻となり、過去5年平均を30%上回った。このうち13隻が1万3000TEU以上の大型コンテナ船となった。関税引き上げ前の駆け込み需要を踏まえ、追加船が投入された効果もあった。
これにより、1~7月累計のコンテナ取扱量は前年同期比5.4%増の597万5649TEUとなった。実入り輸出は6.5%減の84万1643TEU、実入り輸入は4.2%増の309万1956TEUだった。
一方、今後の見通しについてセロカ局長は、「米国への商品輸入はピークを迎えた可能性が高い」とコメントした。8月のコンテナ取扱量は85万~90万TEU程度を予想しており、「そこまで悪くない」(セロカ局長)としつつも、前年同月や前月と比べて減少する見込みだ。「既に多くの在庫がある。政府による関税に関する発表が出ているが、コンテナ荷動きのラッシュは期待できず、大きく変化するとは考えていない」とし、「ロサンゼルス港はどのような状況になろうとも、米国企業のために輸出入貨物を迅速かつ効率的に輸送する準備ができている」と話した。
11日に米中間の高関税停止措置が90日間延長されたことについては、「世界最大の2大経済大国間の交渉がさらに延長されたことで、両国の貿易関係がどのように発展していくのか引き続き注視していく」と述べた。
ロサンゼルス港に近接しているロングビーチ港の7月のコンテナ取扱量も前年同月比7.0%増の94万4232TEUとなり、好調に推移した。7月実績として過去最高を記録し、単月実績としては過去3番目の水準となった。例年はホリデーシーズンに向けてアジア発米国向けのコンテナ荷動きが盛り上がるが、今年は関税引き上げ懸念により、前倒しで出荷する動きが出ており、在庫も積み上がっているため、7月がピークとなる可能性もありそうだ。
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