ジェミニ 段階的に紅海・スエズ経由回帰「ME11/IMX」で変更
Daily Cargo 2026年2月5日掲載
マースクとハパックロイドによるジェミニ・コーポレーションは3日、ジェミニのもとで運航しているインド・中東―地中海コンテナ航路「ME11/IMX」で、紅海・スエズ運河経由のルートに変更すると発表した。今後、安全性を見極めた上で可能と判断すれば、アジア―地中海コンテナ航路「AE12/SE1」と「AE15/SE3」についても紅海・スエズ運河へのルート変更を行う予定。マースクは既に一部の航路で紅海・スエズ運河経由へのルート変更を行っていたが、ジェミニのネットワークは喜望峰経由を維持していた。今回、ジェミニのサービスにおいても段階的に戻すことになり、他のコンテナ船社が追随するか注目される。
「ME11/IMX」の紅海・スエズ回帰は2月中旬から実施し、初船は西行きが2月4日ムンドラ出港の「ALBERT MAERSK」、東行きが2月3日バレンシア出港の「ASTRID MAERSK」となる。いずれも海軍の支援を受けて、安全を確保する予定。「AE12/SE1」と「AE15/SE3」の変更については決まり次第、詳細な情報を通知するとしている。現段階ではその他のネットワークの変更は予定していない。両社は、「顧客への影響を最小限に抑え、業界最高水準のスケジュールの信頼性を維持していく」と説明した。その上で、「乗組員と船員、顧客の貨物の安全は両社にとって最優先事項。可能な限りの最高水準の安全対策を講じる。マースクとハパックロイドは中東地域の安全状況を引き続き注視しており、サービスのルート変更は紅海地域の安定と同地域における紛争の激化がないことを条件とする」とした。
紅海・スエズ運河の通航方針を巡っては、コンテナ船社によって対応が分かれている。一部の船社は中小型船を中心に紅海・スエズ運河の通航を行っているが、多くの船社は安全状況を踏まえ、引き続き喜望峰経由で航行している。ただ、紅海・スエズ運河の通航実績は徐々に増えている状況だ。
海事調査会社ドゥルーリーが1月25日に公表した最新の「紅海迂回トラッカー」によると、1月12日から25日の2週間で紅海・スエズ運河を通航したコンテナ船の隻数は61隻となり、前の2週間から69%増加した。中小型船が多くなっているが、CMA-CGMやMSC、マースクなどは大型船の通航を行っている。8000TEU以上の大型船の通航実績は10隻となり、前の2週間から4隻増えた。
マースクは1月から、インド・中東―北米東岸航路「MECL」で本格的にスエズ運河への航行を再開した。一方で、CMA-CGMは1月下旬、アジア―欧州コンテナ航路「FAL1」と「FAL3」、アジア―地中海コンテナ航路「MEX」の3ループについて、足元の不確実な国際情勢を踏まえ、喜望峰経由のルートに変更すると発表した。ドゥルーリーは、「フーシ派がイランを支援するためとされる船舶への攻撃再開を示唆する動画を投稿したことが、CMA-CGMの決定に影響を与えたのではないか」と分析している。
紅海情勢は引き続き不透明となっているが、今後も段階的に紅海・スエズ運河経由に切り替える船社が増えてくると、一時的な港湾混雑が懸念される。喜望峰ルートと紅海ルートが混在することで、輸送日数に違いが生じ、港湾への本船の到着が集中する可能性がある。足元では、欧州で悪天候による港湾オペレーションへの影響も発生しており、本船寄港の波動性が高まることで混雑がさらに悪化することも懸念される。
中長期的に紅海・スエズ運河への回帰が進めば、航海距離が短くなるため、船社にとっては運航コストの減少が見込める。荷主にとってもトランジットタイムの削減を図ることが可能となる。他方で、喜望峰経由によってこれまで吸収していた余剰船腹量が開放されることになるため、需給環境の軟化が懸念される。運賃市況の下落が進む可能性がある。
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