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マースク 事業多角化で安定成長目指す L&Sの収益性向上に注力

Daily Cargo  2026年2月9日掲載

 

マースクは主力のコンテナ船を中心とした海運事業に加えて、ロジスティクス&サービス(L&S)事業の強化と、ターミナル事業への積極的な投資を進めていく。ポートフォリオを多角化することで、持続可能な安定成長を目指していく方針だ。

マースクは2016年以降、コンテナ物流のインテグレーター戦略を推進している。コモディティ化した伝統的なコンテナ船社から脱却し、海上コンテナ輸送のみならず、航空輸送やロジスティクス、通関など各機能で単体でも勝負できるレベルに競争力を強化しつつ、エンド・ツー・エンドで価値提案を行う会社を目指して
いる。

25年のL&S事業の決算は、売上高が前年比1.2%増の151億300万ドル、EBITDA(利払い・税引き・償却前損益)が17%増の16億8800万ドルの黒字、EBIT(利払い・税引き前損益)が36%増の7億2900万ドルの黒字となった。オペレーションの改善やコスト管理の徹底、イールドマネジメントの強化により、EBITマージンは4.8%となり、前年の3.6%から改善した。一方で21?25年の中期目標では同部門のEBITマージン目標として6%以上を掲げていた。ヴィンセント・クラークCEOは、「現状に満足しているわけではない。L&S事業における業績と成長率の向上は、26年も引き続き優先事項として取り組んでいく」と述べた。

ターミナル事業は好調に推移している。25年決算は、売上高が19.6%増の53億3900万ドル、EBITDAが15%増の18億4300万ドルの黒字、EBITが31%増の17億4700万ドルの黒字となった。売上高、EBITDA、EBITの各段階で過去最高となった。ハパックロイドとの長期業務協力「ジェミニ・コーポレーション」のサービスネットワークにおいて、マースクのターミナルもハブターミナルに位置付けられており、寄港サービスが増えたことで、コンテナ取扱量が前年から8.9%増えた。ターミナル料金の引き上げや、継続的な成長投資の効果もあった。直近12カ月間の投下資本利益率(ROIC)は16.1%となり、中期目標の9%を大きく上回る状況となっている。クラークCEOは、「積極的な投資により、今後数年間は堅調な成長を維持できると確信している」と述べた。

他方で、近年は世界的に港湾混雑が大きな問題となっている。クラークCEOは、「世界のターミナル能力への投資が不足している。今後10年間は世界のコンテナ荷動きに対応するための新規コンテナターミナルプロジェクトに多額の投資を行う必要がある。マースクも計画しており、既に一部のターミナル施設は25年中に稼働を開始している。今後さらに多くの施設が稼働する予定だ。現段階では見通しに不透明な要素があるため資本配分については慎重に行うが、ターミナル投資や船隊更新を継続して強固な地位を維持するための資金力は十分にある」と話した。

今後、新造コンテナ船の竣工とスエズ運河への段階的回帰によって需給が軟化し、コンテナ船市況の悪化が見込まれる中、L&S事業とターミナル事業の収益性拡大は、財務の安定性を高める上でも大きな課題となる。パトリック・ヤニーCFOは、「ポートフォリオの多角化を継続していくことは重要だ。L&S事業のEBITマージンが改善し、ターミナル事業の収益がさらに向上すれば、海運事業の需給が今後数四半期にわたって弱含みで推移した場合も、会社全体として収益基盤を強化することができる」と説明した。

マースクの26年通年(1?12月)の決算予想は、調整済みEBITDAが45億ドルの黒字から70億ドルの黒字の範囲、調整済みEBITが15億ドルの赤字から10億ドルの黒字の範囲とした。世界のコンテナ輸送量はプラス2%からプラス4%の成長を見込む。フリーキャッシュフローは最低マイナス30億ドル、26?27年のCAPEX(資本的支出)は100億?110億ドルを見込む。クラークCEOは、「各セグメントで事業の成長を計画しているが、コンテナ運賃は下落に転じると予想しており、25年と比べて悪化する。新造コンテナ船の竣工や紅海通航の再開に伴う供給過剰のシナリオなどを反映している」と述べた。


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