パナマ運河 9月から通航可能隻数を制限 北米東岸航路への影響懸念
Daily Cargo 2026年8月24日掲載
パナマ運河庁は現地時間20日、エルニーニョ現象の影響や運河流域の降水量の減少を受けて、9月からパナマ運河の通航量を削減すると発表した。船主やオペレーター、船舶代理店向けに発出した勧告によると、9月4日から1日当たりの通航可能隻数をネオパナマックス閘門で9隻、パナマックス閘門で25隻とし、合計34隻に減らす。9月15日からはパナマックス閘門の通航可能隻数を23隻とし、合計32隻に制限する。通航可能隻数が減少することで、コンテナ海運についてはアジア―北米東岸航路などの輸送能力やマーケットに影響が出る可能性がある。
パナマ運河では7月以降、ネオパナマックス閘門で最大許容喫水の制限を強化している。7月3日に49.5フィート(約15.09メートル)、7月24日に49.0フィート(約14.94メートル)、8月15日に48.5フィート(約14.78メートル)へと段階的に引き下げた。これに加えて今回、エルニーニョ現象の影響など最新の状況を踏まえ、9月から通航可能隻数も制限することになった。
1日当たりの通航隻数を制限するのに伴い、日次の通航オークション枠も調整する。LNG船とLPG船を「グループ1」、ドライバルク船と一般貨物船、その他を「グループ2」、コンテナ船、自動車運搬船・RORO船、冷蔵・冷凍船を「グループ3」、ケミカルタンカー、原油・プロダクトタンカーを「グループ4」に分類し、船種やマーケットの特性をより適切に反映した公平なスロット割り当てプロセスを構築する。ネオパナマックス閘門における割り当てプロセスでは、最大TEU積載量を持つフルコンテナ船が優先される。
パナマ運河庁は今回の措置について、「パナマでは雨季に入り、エルニーニョ現象による悪影響を緩和するための節水措置が講じられているが、運河流域の降雨量が予想を下回っている。通航業務の長期的な持続可能性を確保するために追加の措置が必要となった」と説明した。具体的には、5~8月の運河流域の累積降水量は過去の平均を34%下回り、同期間の流域への流入量も過去の平均を44%下回っている。さらに、2026~27年のエルニーニョ現象が深刻化する可能性も予測されており、2027年の乾季(1~4月)に水資源の確保が懸念されている。このため、「今後も気象条件や運河流域への流入量、湖の水位を注視し続ける。気象条件が当初の予想よりも急速に変化しているため、将来的に追加調整が必要になった場合は可能な限り早期に発表する」としている。
通航可能隻数を減らす一方で、予定していた最大許容喫水のさらなる引き下げは延期する。当初は、8月26日付で最大許容喫水を48.0フィート(約14.63メートル)、9月3日付で47.5フィート(約14.48メートル)に引き下げる予定だったが、48.0フィートへの引き下げは9月2日に、47.5フィートへの引き下げは10月1日に延期することになった。
コンテナ海運においては、アジア―北米東岸航路などで船腹需給の逼迫につながる可能性がある。8月に入り、アジア発米国東岸向けの短期運賃は大きく上昇しており、ドゥルーリーが公表する8月20日付のコンテナ運賃指標WCIでは上海発ニューヨーク向けの運賃が9507ドル/FEU、上海航運交易所が公表するSCFIでは14日付の上海発米国東岸向けの運賃が9568ドル/FEUとなり、1万ドルの大台に近づきつつある。足元では、アジア側の主要港が台風の影響などで港湾混雑が悪化しており、スケジュールを維持するため抜港なども増えている。今後、国慶節前の荷動きの増加も見込まれる中、スペース不足が懸念されている。パナマ運河の通航可能隻数の減少と喫水制限により、アジア発北米東岸向けでスケジュールの遅延や実効船腹量の減少につながる可能性がある。需給が一段と逼迫すれば、短期運賃への上昇圧力が強まることも想定される。
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