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通関士の在宅勤務 緩和条件終了300人で体制模索続く 通常条件は増加

Daily Cargo  2020年10月19日掲載

 

通関士の在宅勤務導入で、事業者の対応に差が出ているようだ。財務省関税局によると、新型コロナウイルス禍の特別措置として、一時的に条件を緩和した通関士の在宅勤務申請数は、今月12日時点で累計314社・4379人。このうち、19社・316人が終了申請を行った。一方、通常条件に基づく申請数は今年2月末時点の約10社・23人から、今月1日時点で20社・99人に増加した。緩和条件の終了時期が未定の中、事業者は、最適な通関士の勤務体制の模索を続ける。

緩和条件下での在宅勤務申請を終了した事業者が、▽通常条件の申請▽在宅勤務自体を停止--のいずれに切り替えたかは明らかではない。

同局によると、今月12日時点で、緩和条件下での申請対象者数は累計295社・4063人。一方、終了申請者数は累計19社・316人。6月ごろから増え始め、7月27日時点の累計15社・200人からさらに拡大している。同局は新型コロナ感染拡大防止のため、条件緩和を行っており、通常、必要となる社内規則や就業規則での在宅勤務に関する項目の整備を不要とした。情報セキュリティーが確保されていれば、申請に柔軟に対応している。現時点で緩和条件の終了時期を定めておらず、期間満了に向けた終了申請の必要可否も未定。ただ、終了申請は緩和条件下で在宅勤務を止める明確な意思表示となる。

一方、通常条件での申請は着実に増えている。今月1日時点の申請対象者数は累計20社・99人。2017年10月の改正通関業法で通関士の在宅勤務が認められたが、新型コロナ感染拡大初期の今年2月末までの対象者数は累計10社・23人にとどまっていた。今年3月以降では、複数人分を申請する事業者が増えた。通関士の在宅勤務が認められた当初は、労務管理の複雑さなどから管理職だけを対象とした申請が多かった。複数人分の申請増加の背景には、管理職以外も対象に含めているとの見方もある。

通関士の在宅勤務の継続および拡大に向けては、現場の課題を把握することが求められる。事業者からは「新型コロナ拡大に伴って緩和された条件での在宅勤務開始にかかる申請を行ったものの、必要性がないため実際には運用していない」「システムの関係で、在宅勤務では一部対応できない業務もある」といった声もある。

日本通関業連合会は先月、会員企業などに向けたアンケートで、在宅勤務に関する調査を開始した。本格的な実態調査で現場の声を取りまとめ、現在、取り組んでいる「通関士の在宅勤務にかかるガイドラインの作成」などにも反映させていく。


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