物流よろず相談所

儲かる物流業となるには①

2026年7月29日

『物流なんでも相談所』
岩﨑仁志

 

物流・運送は我が国の経済に対して大きな意義を持つ業種で有り、国内流通の根幹を担っている事業にも拘わらず、一般的に高い評価を得られずにいます。業界の労働環境、労働時間等の劣悪状況を報ずるニュースに依り悪いレッテルが貼られて久しく、ドライバーをはじめ慢性的な人手不足が続いているのです。長時間拘束の慣例化など喫緊に解決しなければならない課題は多いのですが、働き方改革が叫ばれて久しいのですが、改善は遅々として進展していません。労働環境の是正や改善が進んでいないので、労働力不足は依然として難しい課題として存続し続けており、以前にも増して厳しい状況に至っているのではないでしょうか。

ですがこうした厳しい状況の中に有っても改革を進め、事業を拡大して成長している事業者も存在しています。成功者に共通している経営姿勢は、本業で有る実運送部門の基盤強化、即ち現場力の強化に注力して収益性を高めているのです。走ると儲からないので、利用運送を活用していた事業者、特に物流子会社など3PL事業者の中でも、運べなくなる危機意識から自社車両を増やし、変化に対応できるようにしている企業も多くなっています。現場力強化を意識して、経営基盤を高めた上で元請け荷主部門へと事業を拡大しているのです。流通施設を中心に保管、管理、仕分け、加工など3PL事業分野へ進出して成果をあげている事業者も多いのが現状です。

様々な困難に遭っても諦めずに事業拡大への意欲を持って、まず経営基盤を強化、利益体制を固めた上で、新たな事業へ進出してきたことが成功の要因とも言えるでしょう。現場力向上を図り、もうかるビジネスを構築、収益拡大に成功しているのです。こうした経営姿勢、経営視線に立った上での改革推進こそが収益性向上への重要なポイントと言えるかもしれません。

人件費や車両費などコストの増加、燃料の高騰など事業コストが高くなっていく一方で、荷主の物流コストの削減に伴う運送料金の低価格競争、ECビジネスの拡大による少量多品種の輸送増大、冷蔵、冷凍品の需要増加等が主な要因として対策を必要とする課題となっています。更にこれら要因の根本問題を掘り下げて、トラック運送事業の収益構造をおおもとから建て直さなければならない時期に来ているのではないでしょうか。事業自体の構造改革を進めなければ衰退の道しか残されていないとも考えられます。物流業はインフラビジネスですので、車両や倉庫など固定費が高いのが特徴です。

時代の変化に併せて経営者自身の意識改革がなにより最重要ではないでしょうか。これまでの荷主追従する経営スタイルから最適な物流サービスを提供するスタイルに変化していくことが必要です。そのためにまず一番目のポイントは現状把握を行なうことです。経営者目線では無く、より客観的な立ち位置から実態を把握する事が大切なポイントです。

まず現状を認識してみましょう、経営者または会社はこれまでにどの様な方策を取ってどれ程の成果があったのでしょうか。燃料の高騰や環境コストの増加、運送料金の値下げなどマイナス要因が沢山有る為、収益に繋がらないと考えている事業者の方も少なくないと思います。ですがそういった諦めの見方からの判断では社会の流れ、物流業界の流れは見えて来ないのでは無いでしょうか。燃料は高騰しますし、車両の整備や交換、タコグラフ、ドライブレコーダーなどの最新の安全装備、また新車両の入れ替えなどコストがかさむのは当たり前と認識する事が重要ポイントです。その発射台に立って初めて、収益を上げて行く方策の糸口や新たな事業のヒントを掴めるチャンスが広がって来ることになるでしょう。まず現場の現状を把握しましょう、具体的にあげて行きますと事業所の人員や運送ドライバーの状況はでどうなっているでしょうか?多分慢性的な人手不足となっているでしょう。次に自社の営業力はどうしょうか、新規事業開拓については進展しているでしょうか、コスト削減改革は進んでいるでしょうか。ドライバーの労働時間や長い拘束時間、荷待ち時間の改善は実施されているのでしょうか、過積載などの違法行為の強要は無くなっているのでしょうか。安全対策講習、研修制度などの教育制度の不備、燃料高騰による運送コストの増加など実態から様々な課題が見えて来ます。

このようにトラック事業の実態から見えてくるものがあります。乗ったら乗っただけ給料が上がった時代とは状況が全く異なっているのに未だに長時間拘束を続けて改善が進まない、こういった事実ひとつをとってみてもドライバーに対する現場目線の欠如と言えるのではないでしょうか。多くの事業者が人材不足、ドライバー不足、営業力不足、増えるのはコストと過積載ばかり、これでは収益が上がるはずが有りません。これが運送業界、運送現場の実態です。少なくとも多かれ少なかれ何処の事業者も直面している問題です。この現状は旧態依然とした経営方針、経営者の意識その物を表していると受け止めるべきではないでしょうか。

著者プロフィール

岩﨑仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

得意分野

  • 3PL
  • マーケティング
  • ドライバー育成
  • 人材教育
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