香港・5カ年計画、デジタル・グリーン推進 価値重視でコンテナ取扱量安定化
Daily Cargo 2026年9月18日掲載
香港政府は16日、初の5カ年計画を発表した。2026年から2030年を期間とし、国際海事センターとしての地位向上と強固な基盤の構築を目指す方針を盛り込んだ。香港の港湾では、コンテナ取扱量を安定化させるとともに、付加価値の創出を図る。「取扱量重視」から「価値重視」へと転換させる考えだ。デジタル化とスマート化、グリーン化を推進し、中国本土や海外の港湾との連携を深めることで質の高い協調的発展を促進していく。
香港のコンテナ取扱量はかつて世界一となっていたが、11年をピークに近年は減少傾向にある。25年のコンテナ取扱量は前年比5.1%減の1299万5000TEUとなり、8年連続の減少となった。周辺の華南港湾のターミナル開発が加速し、香港から華南への貨物シフトも進んだ。
こうした中、香港はスマート化やグリーン化といった港湾の価値向上に重点を置き、コンテナ取扱量の安定化を目指す考えだ。主力ターミナルとなる葵青コンテナターミナルでは27年前半までにスマート化とグリーン化に向けたロードマップを策定する。自動電動車両の導入拡大や遠隔操作クレーンの利用拡大、陸上電力供給施設の整備支援や陸電を使用する国際定期船に対する港湾使用料の優遇措置などを検討する。また、ポートコミュニティシステムの開発・発展を進めるとともに、貿易物流プラットフォーム「GSBN(Global Shipping Business Network)」との連携を通じて、陸海空の物流とサプライチェーンデータの一元的な提供や、物流・貿易企業向けにワンデータマルチ申告といった付加価値サービスの提供を行う。
次世代燃料のバンカリング・取引拠点の整備も加速する。珠江デルタ地域の各都市との連携を強化することで、香港を中核とするグリーンエネルギー回廊を構築していく。華南地域での生産・貯蔵・輸送、香港でのバンカリング・取引を組み合わせ、エンド・ツー・エンドのグリーン燃料サプライチェーンシステムを確立する。今年中に中国本土の都市と連携した初のグリーンエネルギー回廊を発表する予定だ。一連の脱炭素化の取り組みを通じて、葵青コンテナターミナルの炭素排出量を30年までに21年比で30%削減することを目指すほか、香港籍船のうちグリーン燃料を使用する船舶の割合を30年までに7%に引き上げることを目標とする。
港湾間連携を通じて、トランシップ機能の強化も図る方針だ。香港と近年開発が進んできた海南島の洋浦港は東南アジア航路における強みを生かし、連携を強化することで、「デュアルハブ」モデルを構築する。加えて、グレーターベイエリア内の主要コールドチェーン物流拠点と連携し、香港を華南におけるコールドチェーン貿易の国際的な拠点へと発展させる。香港は中南米航路において優位性を保持しており、華南と中南米間のコールドチェーン物流回廊の構築を加速する。鉄道と海上、陸上、河川輸送を組み合わせた複合一貫輸送システムを強化し、省をまたぐ貨物車両の運行や越境貨物車両の許認可制度の改正、広東・香港・マカオが発行する商用車運転免許の相互承認を推進する。これにより、香港経由の貨物積み替えコストを低減し、コンテナ取扱量の安定化という目標の達成を目指す。
海事分野では、香港の船籍登録制度を改革し、高付加価値な海事サービスのエコシステムを構築していく方針も盛り込んだ。二重登録制度の導入などを含め継続的に制度の改善策を検討する。香港籍船による中国本土市場へのアクセス拡大を支援するなど、香港籍船の規模拡大に向けたさまざまな優遇策の導入や国内外でのプロモーション活動を強化していく。船舶管理、船舶金融、海上保険、海事仲裁サービスといった海事サービス分野における香港の強みを最大限に生かし、海事産業の高度化と発展を支援していく。
国際貿易センターとしての地位の強化・向上も図る。自由貿易を堅持し、ゼロ関税を維持するとともに、ルールに基づく多国間貿易体制を支援していく。また、高付加価値なサプライチェーンサービスセンターを構築することで、中国本土企業による国際市場への進出なども後押ししていく。
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