物流よろず相談所

新年に誓うこと、強い企業を目指して

2018年12月19日

物流よろず相談所 

 


過行く年末、物流企業にとって最も忙しい繁忙期を迎えました。この繁忙期を乗り切ると、新年を迎えます。新年に向け、決意することは何でしょうか?強い物流企業になりたい!経営者であれば、誰でも願うことです。営業の強化を図りたいが、どうすれば良いのかわからない、などの悩みを持つ経営者・幹部の方も多いのではないでしょうか。

その様な時には、まず自社のSWOT分析を行うことをお勧め致します。できるだけ、多くの幹部・社員に参加していただきこの分析を行うとより効果的です。S=強み(Strength)、W=弱点(Weakness)、O=拡大機会(Opportunity)、T=脅威(Threaten)をそれぞれの立場で考えてもらいましょう。S=自社の強み、セールポイント、他社に比べて優れている点はどこか、それを考えることです。まず、自社には必ず他社にまねのできないセールスポイントが存在するはずです。そうでなければ、これまで苦しい経営環境を勝ち抜くことはできなかったはずですから。現場の社員にそれが理解されていないならば、それを修正させるだけで優れた会社へと変わることができるかもしれません。その優れたセールスポイントを見出し、それを強化することが強い会社作りの第一歩となります。同じく、W=自社の弱点も理解しておくことが必要です。弱点の考え方は、経営者、幹部、社員それぞれの立場で大きな違いがあります。

これまで社員研修などで何度もSWOT分析を行っていただきました。弱点について、社員の方々は持っているものを当然と考えてそこからのマイナスで考える傾向が強く、幹部、経営者と上にいくほど、ゼロからのプラスの観点で会社をみるようです。マイナスを多く、否定的に見る社員が多い会社は強い会社とは言えません。社員と幹部・経営者では見えている内容の違いもあるでしょうが、仕事に対する取り組み方の違いが大きな要因の様です。ですから、マイナスは他の会社にも存在するとしたら、自社だけにしかないマイナスを見出すことの方が大事なのです。その弱点が法律違反や経営的に致命傷となるならば修正しなくてはいけません。

弱点を克服して強みに変える、言葉では簡単ですが、これにはコストも時間もかかり、費用対効果という点では効率的とは言えません。弱点は理解し、それにムダな投資をするよりも、代わりに強みで置き換えることが強い会社作りのやり方です。分かり易く言えば、設備投資をしても、費用回収には時間がかかります。既存施設を持って営業しているライバル企業に打ち勝つには、自社で投資するよりも、よい賃貸物件などを見出し、その部分のマイナスを低く押さえ、その他のプラスポイント、ドライバーの優秀さ、現場品質など、自社の優位点を生かすことがより重要な事なのです。

これに続いて、0=どの様な分野でビジネス拡大の機会があるか。どうすれば事業強化を図ることができるかなど、意見を出し合うことが重要です。商品開発には現場の英知がなければ実現できない商品となってしまいますから。

最後にT=脅威、リスクに対する備えが必要です。最近では飲酒運転が原因で事業所停止や許可の取り消し処分を受ける業者も増えています。この他考えられるリスクへの対応をしておきたいものです。ライバル企業の動向、自社の荷主との関係など多様な点で分析をし、備えをしておくことが重要です。強い会社作りの第一歩として、このSWOT分析を活用し、対策を行っていただきたいと切に願います。

この分析ができ、何から始めるのがいいのでしょうか?弱点を強化しても、それをサービスとして提供しても差別かし勝ち抜くことはできません。特長である自社の強みを生かし、もう一度サービス内容を商品化してみましょう。写真や図示など行ったサービスカタログを作成し、既存の顧客、過去取引のあった顧客へもう一度営業を行ってみてはいかがでしょうか?何らかのリアクションがあるはずです。新しい商品は必ず活性化につながるものです。既存取引先で学んだ顧客サービス内容とニーズを生かして、新規営業へと拡大を図っていただきたいと願います。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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