徒然日記

「国語力」が危うい!?

2020年1月8日

『徒然日記』 

 

年があらたまり「西暦2020年」となりました。今年もよろしくお願いいたします。

で、早速ですが、昨年は「さくらを見る会」や、大臣の「放言」があれこれと取り沙汰されました。「萩生田文科相」の「大学入試共通テストへの記述式問題の導入」についての発言も「なんでこの時期に!?」で物議を醸しました。その結果「20年度の見送り」が決まりました。特に国語は、正答例などを読んで解答が正しかったかどうかを判断するのには、一定の読解力が必要です。一方、採点側には<1万人>体制が必要とされていますが、受験者の能力を上回る採点者を、それほど集められるとは思いませんので、「20年度は見送り」は納得できますが、それでは「21年度以降」はどうなるのでしょうか。これまでに実施された共通テストの試行調査では、採点をしやすくするために、「記述の自由度」が極めて低いものになったそうで、それでは「国語力」の判断は出来ません。

「表題に見合う例」を挙げます。昨年末に、「経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)による国際的な学力調査」(15歳児を対象に読解力などの三分野について3年ごとに調査)結果が発表されました。それによると「日本の若者の読解力(国語力)の低下が浮き彫りになった」と言うことです。そのことでマスコミ各社が大騒ぎをしていました。

たとえば【「日本の15歳『読解力』15位に後退」(日経)。「『読解力』15位に急降下、『数学』『科学』トップレベル維持」(読売)。「PISAショック 再び」(毎日新聞)】などという、ランキング低下を煽るような記事が目につき,冷静な読者(誰のこと?)としては気になりましたので,この文章を書き始めました。

OECD調査に戻ります。この調査で上位を占めているのは「上海、シンガポール、マカオ、香港」などの地域や都市でした。それに対して我が日本はオールジャパンの「ワンチーム」ということで、調査対象者が全国各地、広範囲にわたっています。それに対して、ランク上位の地域や都市は「保護者の経済的な環境に恵まれている」家庭が多いので,こどもの学力にも影響していると思います。日本でも最近では、東大入学者は裕福な家庭のこどもが多いと言う結果が出ていますので、経済的環境が学力に影響を及ぼしていると言うことは否定できませんが、コンマ以下の数字の変化に対して、一概に「日本のこどもの国語力が落ちた、とは言い切れない」と言うことも出来ると思います。言っちゃなんですが,この調査結果の順位で、我が国は「アメリカ」と同じ、「ドイツ」よりは上でした。ということは、これらの国も「国語力低下」なのでしょうか?

しかし「言っちゃおう!」と思い直して申しあげます。この調査の対象となった我が国の同年代の人たちのことを思うと,実際にあまり本を読んでいる姿は見かけません。大人も同様で、その証拠と言って良いと思いますが,この20年ほどで,出版物の推定販売額は<ほぼ50%>と半減しています。新聞の発行部数もおしなべて漸減傾向にあります。

確かに,電車に乗ったときなどでよく見かける光景ですが、本を読んでいる人は私を含めて(自慢しちゃってますね)ごく僅かで,ほとんどの方は「スマホ」とにらめっこをしています。「何してるのかな」とちらっと盗み見をすると、大方は「ゲーム」です。それから「動画」。そして一番は、私はあまりなじみませんが,いわゆる<SNS>によるメール交換や情報取得。<SMS>もそうですが、国語力とはまったく無縁な「文字の交信」ですから、「長文を読んで概要を理解する」訓練にはほど遠いです。「活字離れ」が進んでいると言うことです。

前述の調査について、「国立教育政策研究所」の<2018年調査問題例>なるものがありました。それによると【「ラバヌイ島」(イースター島とも言う)において、数百年の昔、なんであの数十トンもあるモアイ像があちこちに建てられたのか】とか、【なぜ、豊かな森林の巨木が消滅してしまったのか】などを、「ある大学教授のブログ」を読んで回答するというものでした。なじみのない島の話しでは「スマホ愛用の<15歳>」には無理だなと思いました。

この話題はそこまでとして、今回は「分りやすい日本語」で話しを締めさせていただきます。私の購読している読売新聞の「時代の証言者」と言う欄に、「“令和”の命名者ではないか?」と言われている中西進氏(万葉集研究家)が書かれた文章です。あなたの「国語(読解)力」は、いかがでしょうか。

「ひらがなでよめばわかる日本語」(中西進)

【遊びの「あそ」はイコール「うそ」です。うそは偽りではありません。事実とはことなる偽りとまことの間に有る,ぼんやりとした状態で、文化の最も大切な装置です。実験や頭ではっきり分ることは世界のほんの一部です。(中略)わたくしたちの生きるほんとうの本当には、うそが含まれているんです。(中略)ですから「うそかまことか」は、問いとしてはおかしい。「偽りかまことか」と言わなければならないが、うそと偽りを混同した日本人はうその大切さを忘れてしまいました。】

先生、「うそからでたまこと」もありますね。皆さんいかがお思いですか?

ということで、今年も、ど“うそ”よろしくお願いいたします。

著者プロフィール

小泉武衡

職歴
 元 寺田倉庫株式会社 取締役


1964年より「物流業」に携わり、変化する“各時代の物流”を体得するとともに、新たな取り組みとして「トランクルーム」や「トータル・リファー・システム(品質優先ワイン取扱い)」事業に力を入れてきました。さらに、営業・企画・渉外・広報棟ほか、倉庫スペースを利用した「イベント事業責任者」などを歴任し、旧施設の新たな活用、地域開発、水辺周辺の活性化に尽力してまいりました。

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