徒然日記

「辞めたい」と言ったひとと言われたひと

2020年2月5日

『徒然日記』 

 

今読んでいる小説ですが、「紙発行の新聞社を買収して、すべてネットニュースに移行する」という、新聞社買収の葛藤劇です。読みかけですので、どんな結論になるかまだ見えていませんが、あり得る話しだと思っています。

昔の話しです。テレビが大躍進して、新聞ニュースとの即時性での優劣が論じられた時、新聞援護派が「テレビじゃ、弁当を包めないだろう。ネギもくるめないないだろう」という冗談を言っていました。私は「新聞紙」は購読しています(弁当は包みませんが、ネギは時々くるみます)が、報道機関などのネットによるニュースも、つまみ食いしています。

そのような中で「夕刊フジの<ZAKZAK>」ニュースによく目を通します。そこで、かの”壇蜜さん”がコラムを書いておいでです。彼女は、世の中のうわべの評価とは違う、しっかりとしたものの考え方をお持ちです。

先日のコラムに、表題の話を書いていました。お許しをいただいたつもりで、概要を記します。(私流に本文を要約しています)

【ある日、とある大きめのお風呂が楽しめる施設(人はそれを公衆浴場とかスーパー銭湯と呼びます)の湯船につかっていたときの、隣で湯船を楽しんでいるレディ2人の会話です。片方のレディの話しで、昨年入ってきたらしい大学卒の青年(悪いコではないが真面目すぎるような感じ)が辞めてしまいそうで心配している。「辞めたいと言われたらどうしよう」】と言うことですが、壇蜜さんはのぼせてしまったのと、その後聞いちゃ失礼だと思って、湯船から脱出。

で、そのあとはご本人の感想で、「辞めたい気持ちを伝えられたら引き留めたいが、基本どうにもならない」というもう片方のレディの考え方に賛同されておいででした。

さらに続きます。【私は「辞めたい」と言ったこともあるし、「辞めたい」と言われたこともあります。上司や先輩にも多大なる迷惑をかけ、いい部下とは言えない時代もありました。そして、後輩を守れるようないい先輩ではなかったことも。いまだにどこかで「とんでもない人だった」と言われても反論できません。仕事を辞めるとき、よほどの事情がない限りは辞める側にも辞められた側にもいい感情は起きないと考え、円満な「辞める」はまずないものだといつも心にとめています。だからといって、開き直ったり恨んだりするのではなく、「また次の出会いが良きものとなるよう、粛々と生きよう」と思えたらいいなと思うのでした。】

と言うことですが、この文章を読んで、彼女の素晴らしいところは、その後に、なにかの噂でも、「やっぱりあの人はダメだったね!」と言われないように、日々精進しようと反省をしていることです。

この記事を読んでいて、自分がこれまでたどってきた人生(いささかオーバー)に思いを馳せました。皆さんは「辞めよう」と思ったこと、または、相談されたことがおありになりますか?私は小心者と言うか横着者ですから、半世紀近く勤めた会社を辞めようと思ったことはありませんでした。

と言うことですが、仲間や部下から「辞めたいです」と、相談というか告白をされたことは、何度か(何度も)ありました。そのようなときに私はどうしたでしょうか?またはどうすべきだったのでしょうか?

当然のことながらまずは、「なんで?どうして?」と尋ねます。理由は様々です。納得がいく理由では「家業を継ぎます」。女性でしたら「結婚します」があります。もしかしたら嘘かもしれません(実際に“嘘”のこともありました)が、こうした理由なら、私を困らせないで済むということかもしれません。しかし、私への思いやりだったのだろうと、自らを納得させていました。

一般的にみて、辞めたいと思う理由としては、

①仕事がきつくて、耐えられない。
②将来に希望を見いだせない。
③仲間や上司などとの人間関係での悩みから。
④今より良い条件で、誘われた。

と言ったところでしょうか。

しかし、壇蜜さんのように、「基本どうにもならない」ことが多いと思います。勿論、それは「本人がいけないのか」と「会社としての対応に問題があるのか」に分かれます。それでも、「引き留めたい」という思いは起きます。

①の場合、本当に仕事のしわ寄せが「辞めたいと思っている本人」に及んでいるのか?それでしたら、改善の手助けをしてあげないといけません。本人の思い込みの場合でしたら、辞めて他の仕事についても、また辞めたくなりますから、「そうじゃないよ」をやんわりと話してあげる度量が自分に有ったら良いなと思います。

次の②と③の場合の場合は悩みます。自分としては、大それたことや約束は出来ませんから、「一緒に考えてゆこう」レベルの言葉しか思い浮かびません。それでも、相談をした人は、「仲間ができた」という安堵感をすこしは持ってくれるのではないでしょうか。相談を受けた側としては、そう思いたいところです。

ところが、④になると困ります。優秀な人材が、引き抜かれてしまうわけですから。そうかと言って、給料を上げるとか良いポストを用意するとかの引き留め策では、本人を甘えさせることになり、会社も「鼎の軽重」を問われることになります。この場合は、相談を受けた人が、いかに説得するか、説得できるかにかかっていると思います。

でも待ってください。それが出来ちゃったら、優秀なあなたに、「転職の誘い」が来るかもしれませんね。

それこれに思いを馳せつつ、私も「とある大きめのお風呂が楽しめる施設」で、その先を考えることにしたいと思います。皆さんもどうぞ。出来ればご一緒に。

著者プロフィール

小泉武衡

職歴
 元 寺田倉庫株式会社 取締役


1964年より「物流業」に携わり、変化する“各時代の物流”を体得するとともに、新たな取り組みとして「トランクルーム」や「トータル・リファー・システム(品質優先ワイン取扱い)」事業に力を入れてきました。さらに、営業・企画・渉外・広報棟ほか、倉庫スペースを利用した「イベント事業責任者」などを歴任し、旧施設の新たな活用、地域開発、水辺周辺の活性化に尽力してまいりました。

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