物流よろず相談所

コロナウィルスとライフライン

2020年4月15日

物流よろず相談所 

 

悲しいニュースが流れました。最初はFACEBOOKで見たのですが、信じられませんでした。愛媛県新居浜市の教育委員会が4月9日、同市の市立小学校が新型コロナウイルスの感染が拡大している東京や大阪を行き来する長距離トラック運転手の2世帯に対し、子どもを登校させないよう求めていたとする読売新聞の9日付の報道について、その事実を認め謝罪した上で背景を明らかにしました。

この2世帯の子ども3人は、8日の入学式と始業式を欠席。市教委の高橋良光教育長がこのことについて謝罪し、学校側も保護者と関係者に対して謝罪した上で登校自粛の要請を撤回しました。市教委は新学期が始まる前に、市内の全児童の家庭に対し、家族や児童が感染拡大地域を訪れたかをアンケートで調査。学校内の感染を防ぐ目的で行われた同調査は、(1)感染拡大地域を訪れた人が家庭内にいる、かつ(2)家庭内に体調不良の人がいる――この2つの条件を満たす家庭があった場合に、学校側に該当児童の登校自粛を検討するよう求めるためのものでしたが、市教委と学校側で情報共有が徹底されておらず、学校側は(1)の条件だけに該当するトラック運転手の家庭に対して登校自粛の要請を行う判断を下したものと考えられています。市教委の説明によると、学校側は、トラック運転手の家庭から「運送会社に勤務しているため、仕事で感染拡大地域に訪れた。これは該当するか」との問い合わせを受け、市教委に確認を求めたが、その際に同家庭は(2)の条件に当てはまらないにもかかわらず、市教委がその判断をめぐり曖昧な回答をしてしまったことが原因だといいます。最終的な判断は学校側ですが、感染防止に向けて慎重な姿勢をとっている学校側に曖昧な回答をしてしまった市教委側にも責任があるのは当然のことです。

事実だけを見れば職業差別とも受け止められる今回の件は、国民の生活を維持するために必死に業務を継続している物流関係者にとって、今後絶対にあってはならない事態で、一生に一度の入学式に1人だけ異なる事情で出席できなかった児童のことを思うと簡単に許されるものではありません。福岡では医療従事者に感謝するために、毎週金曜日午後1時に拍手で感謝を表すとことを始めたといいます。物流業はライフラインを守るために、危険な場所にリスクを持ちながら、国民生活が支障のないように頑張っています。この事実認識がなされていないことが、残念でなりません。今回の自粛措置を受けて、お会いすることはできませんが、多くの経営者にお電話でこの件を確認すると、社員には知られたくないと言われる経営者もおられました。わかる気がします。これをきっかけに、各地で同様のケースを起こさないよう注意が広がることを願ってやみません。

今は自粛をしなければならない時です。これまで22年前に今の厚木に引っ越してから一度もこれほど長い間居たこともないので、桜が咲き、散りゆく姿を眺めることもできました。今をどれだけ我慢できるかが試されているのです。不要不急の外出と3密をさけることを徹底せねばなりません。コロナウィルスに負けないために、他国では政府による強制で抑えました。韓国ではITを活用して個人の行動までがオープンにされました。日本でも同じことが可能だそうですが、厚生労働省に捜査権がないために、携帯履歴を追跡することはなされていません。今こそ、日本国民の優秀さを、強制が無くても抑えてみせることで証明したいものですね。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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