労務管理ヴィッセンシャフト

熱中症対策に注意!職場の健康管理

2026年8月12日

労務管理ヴィッセンシャフト vol.49
野崎 律博


◆職場の熱中症対策

毎日暑い日が続く今日このころ、皆様いかがお過ごしでしょうか?今年も熱中症で多くの人達が体調不良となることが危惧されており、震災も相まって深刻な状況となっております。昨年6月に施行された改正労働安全規則では、一定の暑熱環境で働く労働者について、事業主に報告耐性の整備と悪化防止措置の手順の策定と周知の義務について法制化がなされました。義務の対象の事業所とは、WBGT(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上もしくは1日合計4時間を超えて作業する場合となります。WBGTとは暑さ指数のことです。暑さ指数は熱中症を予防することを目的として、1954年にアメリカで提案された指標です。暑さ指数は人体と外気との熱のやりとりに着目した指標であり、湿度や熱環境、気温を取り入れた指標です。計算式等もあるのですが、WBGT測定機能付きの室温計で測定することができます。

義務内容として一つ目は、熱中症等への報告体制の整備についてです。異変を感じたときや、同僚など周囲の者が報告するルートを、あらかじめ決めておく必要があります。具体的にはその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業所ごとにあらかじめ定め、それを関係作業者に周知することが必要です。

二つ目には、熱中症を生ずるおそれのある作用を行う際に、①作業からの離脱②身体の冷却③必要に応じて医師の診察または処置を受けさせること④事業所における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所定地等についてあらかじめ定め、関係作業者に周知する必要があります。なお、「熱中症を生じるおそれのある作業」の判断としては、先に述べましたWBGT28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるものが対象となります。

◆熱中症対策の新ガイドライン
以上は昨年の改正でしたが、厚生労働省はこれらに併せて今年の3月に「職場における熱中症防止のためのガイドライン」を新たに策定しました。これら内容は、令和7年労働安全衛生法の一部改正に対応したものとなります。

主たる改正は「報告・緊急対応体制の整備」が義務として明確化されたことです。これは昨年の改正労働安全規則でも定められていたことですが、ガイドラインにも明文化されました。また業種や業態に応じた「望ましい具体策」をメニューのように示されました。ガイドラインでは、5つの柱で具体的な方法が整理されております。

一つ目には管理体制の確立についてです。熱中症対策の責任者は誰なのか?あらかじめ定める等、社内の役割をはっきりさせることです。

二つ目にはWBGTの把握や日よけ、休憩場所・スポットクーラー等の環境整備について書かれております。WBGT基準値を超えている又は超えるおそれのある作業場所(「高温多湿作業場所」という)において、発熱体(ボイラー、炉、高温の機械など)と作業従事者との間に熱を遮ることのできる遮蔽物を設けること・・・等、各ケースに応じた具体的なこと等が示されております。

三つ目には、作業管理の在り方について示されております。熱中症予防対策として考えられる施策の例として、作業の休止時間及び休憩時間を確保することや、高温多湿作業場所での作業を連続して行う時間を短縮するための努力等、作業管理に関するガイドラインが示されております。

四つ目には健康診断結果に基づく対応や、作業開始前の体調確認等、作業従事者への健康管理に関するものです。とりわけ健康診断の結果、熱中症の発症に影響を与えるおそれのある疾患と密室に関連した血糖検査、尿検査、血圧や既往歴等に着目し、該当者に対し必要があれば就業場所の変更や作業転換等の適切な措置の徹底について明文化されました。

五つ目は、熱中症予防対策を行うために、対策に携わる管理者や職長等現場で作業従事者を指揮する者や作業従事者に対し、熱中症予防対策に関する労働衛生教育を行うことが望ましいとされております。なお、ガイドラインには教育内容の内容や範囲について、具体的に示されております。また、その際は、厚生労働省が運用するポータルサイトに掲載されている資料を活用することが奨励されております。

最後に、今年もまだ本格的な夏が続くと思いますが、皆様におかれましては体調管理に十分お気をつけください。

(参考)厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001676048.pdf
※アドレスをコピーのうえご覧ください。

著者プロフィール

野崎律博

主任研究員

公的資格など
特定社会保険労務士
運行管理者試験(貨物)


物流事業に強い社会保険労務士です。労務管理、就業規則、賃金規定等各種規定の制定、助成金活用、職場のハラスメント対策、その他労務コンサルタントが専門です。労務のお悩み相談窓口としてご活用下さい。健保組合20年経験を生かした社会保険の活用アドバイスや健保組合加入手続きも行っております。社会保険料等にお悩みの場合もご相談下さい。

得意分野

  • 労務管理
  • 就業規則
  • 賃金規定
  • 助成金
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