物流なんでも相談所

物流業にとっての健康経営

2022年7月20日

物流なんでも相談所 Vol.46

 

最近健康経営という言葉をよく耳にするようになってきました。これは健康経営優良法人認定制度が制度化されたことが大きく影響しているようです。同制度は地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。この制度では、大規模の企業等を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」の2つの部門により、それぞれ「健康経営優良法人」を認定する仕組みです。

「健康経営優良法人」に認定されると、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的な評価を受けられ、「健康経営優良法人」ロゴマークの使用が可能となるなど対外的な特典だけでなく、同制度を効果的に運用することで、従業員の健康が守られるばかりでなく、未然の災害や離職を減少させるという物流業にとっては実質の効果も大きいとされています。

2021年3月健康経営優良法人には、全国で大規模法人部門1801法人、中小規模法人部門7934法人が認定を受けました。このうち物流関係は「陸運業」が33社、「海運業」が3社、「空運業」が11社、「倉庫・運輸関連業」が13社となりました。1801法人のうち、上位の「ホワイト500」に認定された物流関係企業は、陸運業が7社、海運業が1社、空運業が9社、倉庫・運輸関連業が1社。陸運業ではセンコーグループホールディングスなど、海運業では商船三井、空運業ではANAホールディングスや日本航空など、倉庫・運輸関連業ではワコール流通(滋賀県守山市)が選ばれました。一方、中小企業は7934法人が健康経営優良法人に選ばれ、このうち物流関係は「運輸業」が664社、「郵便業」が1社でした。

健康経営は物流業の職場環境改善に大きな効果がると言えます。そこで、健康経営優良法人認定を目指す企業経営者に向け、これまでに認定を受けた企業や積極的に健康経営を推進している企業の先進事例15社を紹介し、コロナ禍で社会的課題となっている従業員のストレス対策など、産業医のアドバイスを有効に活用している企業の事例などを踏まえながら、できるだけ具体的なノウハウを考えてみたいと思います。健康経営への取組みは、まず①に健康宣言を実施すること、経営理念の中に明文化し企業として取組む姿勢を内外に発信することです。次に②実施できる環境を整えること、経営層で認識を共有し担当者、担当部署を設置して取組みやすい環境を整えましょう。③自社の課題を明確にし、目標設定した上で対策を実施しましょう。④最後に実施策の効果を経営層を含めて確認し、現状の取組みを次回以降の取組みに活かしていきましょう。

こうやっていかに取り組みが効果的であったか、成果を全社員が実感できることがとても大事です。社員の健康は日々の運行において安全に直結するものとなります。運輸業において本業に大きな効果ももたらす健康経営、是非取り組んでいただきたいと思います。

認定されるには以下の表を参考にしてください。

<経済産業省> 健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定要件(29頁)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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