物流よろず相談所

対外折衝能力を引き上げる②

2023年11月1日

物流よろず相談所 


前号に続いて、対外折衝能力を引き上げるための方法を考えて行きたいと思います。まずは話す前には話す内容とアイディアをまとめることが必要です。そのために本来の目的とそれに沿った目標に区分して考えると肩の力も抜けアイディアも出やすくなります。例えば、部門や個人での達成すべき目標とその目的、手段を考えてみると理解できるでしょう。例えば年収を増やしたいと思えば、使えるお金を増やすことが目的となり、無駄な支出を減らすことが手段となります。考えを出そうしてなかなか良いアイディアが出ない場合でもこのやり方で書いてみると様々な方法を見出すこともよくあります。仕事に行き詰ったら、本当の目的を書き出す、それを今までとは別の手段でも達成できないか考えてみるなどすればさらにアイディアを思い浮かべやすくなるでしょう。

現場における問題は多くの場合、複数の原因があることが少なくありません。原因が異なると解決策も異なるので、解決方法を考えると複雑になっていきます。しかし、問題をパターン化することで複数の原因も明らかになってきます。例えば仕事が期限までに終わらないのは何故だろうか?要因を考えると、①仕事のスピードが遅い、②ミスが多くやり直しが多い、③仕事開始が遅い、④設定時間そのものが短い、⑤上司の指示待ちばかり、等色々とでてきます。マネージメントサイドとしては全てのパターンを明らかにしてから、解決へと進めることが大事です。

加えて、検討漏れを避けるため、まずフレームワークを定めることが必要です。仕事の失敗の多くは、視点の見落としにある場合が少なくありません。例えば①ビジネス開発だと顧客、自社、競合他社、②物を売るときであれば商品、価格、立地、販売促進など、③一般サービスだと明らかに品質、価格、納期でしょう、④物流サービスあれば安全、価格、品質、時間という具合にフレームをきちんとしておくことなどそれぞれの必要とされることに対応できることが大事です。今の仕事で見落としはないでしょうか?自分の中で、見落としをしてはいないか、フレームワークを活用して検討することが大事です。仕事を進める中で、

新しい仕事や難しい仕事ほどすぐ取りかかりがちですが、まずじっくりと段取り・手順を考えた方が効率も成果もあがります。良い結果はすぐにはでないので、手順と段取りをまず決めて、着実に結果を出すよう指導していきましょう。課題解決の手順は、①現状把握→②問題発見→③問題解決→④実現サポートで進めることがポイントです。大きな仕事になればなるほど中間時点での報告は必要です。仕事を長い間自分1人で抱え込んでしまうと、正しいアウトプット(成果)につながらないことも少なくありません。やり直しを避けるために完成後のイメージを共有化しておく必要があります。仕事の進め方や段取りなどを考え書面にした段階で、チーム内で、特に自らの上司にも確認をしてみると良いでしょう。

伝達は理解を深める手法で進めることが大事です。人間が一度に認知・理解できる情報は“片手が限度”と言われています。話すのみ、書くのみではなく、グループ分けしてみた上で箇条書きにしておき、整理しておきましょう。グループ分けは、5W1H(主体となる人=who、場所=where、時間=when、物=what、目的=why、手法=how)で行うと整理しやすく、話の軸も変えやすくなります。

コミュニケーション能力を高めると話す力(伝える力)も同時に向上します。相手に状況を説明したり、自社の各種サービスの良さや強みを十分に引き出しながら伝えることができるようになります。上手な話をしたいと願っても、どうすれば上達するか、自覚できている人は少ないでしょう。その準備のために、①まず見た目第一印象を上げましょう(服装、笑顔、姿勢、挨拶等)、②話しやすく、正しいストーリー展開を検討しておくましょう(オリジナリティやわかりやすさ)、③話し方そのものを研究(声の大きさ、スピード、滑舌等)しておくましょう。相手が知りたいと思われる内容を知りたい順番で話すように心がけましょう。具体例やエピソードを盛り込むと理解度は大きく上がります(プレゼンの具体例ではセリフを入れるとわかりやすい)。図解は話し手と聞き手の共通理解を深める効果もあります。何を話したかではなく何が伝わったか、が重要です。プレゼンに「え~と」「あの~」は禁句です(リハーサルで録音してチェックしましょう)。プレゼンテーションや説明ではストーリー、起承転結に沿うことが大事です。伝えたい(知りたがっている)内容を選び、ゆっくり流れを絶やさぬよう話しましょう(口を大きく開け、はっきり、を意識すること)。準備した内容は全て話さなくとも良いので、伝える努力と伝わって理解をえる訓練をし続けましょう。

現代物流業界の刷新ぶりと近未来の姿をアピールし、顧客の先入観を変えていけるような、話し方の工夫をしていきましょう。物流業界全体のイメージと地位向上も物流のプロに課せられた使命です、自らの仕事と商品に誇りを持つと、先方への説得力も増すものです。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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