物流よろず相談所

トラックGメン

2024年3月6日

物流よろず相談所 

 

トラックGメンの活躍が注目されています。トラックGメンとは、トラック運転手の残業規制強化による人手不足が懸念される「2024年問題」で、発荷主企業のみならず、着荷主企業も含め、適正な取引を阻害する疑いのある行為への監視を強化する目的で国土交通省が2023年7月21日から始める取り組みで、要請、働きかけによる改善を指導し、改善が見られない場合は勧告と社名公表を行なう制度です。6月に出された物流革新パッケージによって、これまで省庁横断での物流施策大綱によって荷主への指導がなされていましたが、国交省では省庁横断での指導ができにくい面もありました。総理大進主導での物流改善への取組みで、後押しされた国交省のトラックGメンの活躍は華々しいものがあり、トラック事業者に多くの希望を与えているような気がします。

国土交通省では、令和5年11月・12月をトラックGメンによる「集中監視月間」と位置づけ、適正な取引を阻害する疑いのある悪質な荷主や元請事業者に対する監視を抜本強化し、164件 の「要請」と47 件の「働きかけ」を実施しました。加えて、過去に「要請」を受けたにもかかわらず、依然として違反原因行為をしている疑いのある荷主等に対し、初めて2 件の「勧告」を実施しました。「集中監視月間」終了後も、悪質な荷主等への監視を徹底するとともに、今般「勧告」「要請」等の対象となった荷主等については、トラックGメンによるフォローアップを継続し、改善が図られない場合は更なる法的措置の実施も含め、厳正に対処していく、としています。トラック事業者への全数調査や、トラックGメンによる関係省庁と連携したヒアリング等により入手した情報に基づき、悪質な荷主や元請事業者等に対し、164 件の「要請」(荷主82 件・元請事業者77 件・その他5件)及び47 件の「働きかけ」(荷主26 件・元請事業者19 件・その他2件)を実施し、違反原因行為の早急な是正を促しました。「要請」等の月当たりの平均実施件数は、106.5 件(うち「要請」82 件、「働きかけ」23.5 件)となり、トラックGメン発足前の1.8 件から大幅に増加しています。さらに、既に「要請」を実施した荷主等のうち、依然として違反原因行為に係る情報が相当数寄せられた者(荷主1社、元請事業者1社)については、当該荷主等が、要請後もなお違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認め、当該荷主等に対し、違反原因行為をしないよう「勧告」し、その旨を「公表」しました。

今回「勧告」を受けたのは、荷主1件(王子マテリア)・元請事業者1件(ヤマト運輸)で、いずれも長時間の荷待ち等が違反原因行為として記載されました。なお、今回「勧告」「要請」等の対象となった荷主等に対しては、違反原因行為の早急な是正を促すとともに、改善計画の提出を指示しました。ヤマト運輸コーポレートコミュニケーション部によると、2022年11月に「要請」を受けており、改善活動に取り組んではいたが今回、勧告という結果となった。HPでパートナー運送会社や関係者に謝罪の意を示すとともに、「これを真摯に受け止め、再発防止に向けた取り組みを確実に実施し、信頼回復に努めたい」とコメントしています。

今後の取組状況等については、トラックG メンによるヒアリングや現地訪問等を通じてフォローアップを行い、「要請」後もなお改善が図られず、違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、当該荷主等に対し、「勧告・公表」を含む厳正な対応を実施していくとしており、トラックGメンの活躍が期待されるとことです。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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