高齢者日記
2026年6月17日
『続・徒然日記』
葉山 明彦
先日、70歳を越えて初めての普通自動車運転免許書き換えに臨んだ。いわゆる高齢者の免許更新である。高齢者と言っても前期(70~74歳)なのだが、従来の更新と異なり書き換え前に実技を含む「高齢者講習」というの受けなくてはならず、東京都の場合、この通知(ハガキ)が誕生日の半年前に来て対象となる民間の自動車教習所で受けるよう指示された。書き換えまで半年もあるのでと3カ月くらい放っておいて近くの教習所に電話を入れるともう3カ月先まで予約が埋まっていると言われた。それでは更新の期限切れになってしまうので、バスや電車を使って行く町の複数の教習所に問い合わせるとほぼ同様にタイトな状況。その中で2カ月先の予約は〇月〇日から受け付けるという所があり、その指定日に電話を掛け直して予約がとれた。もう1~2カ月放置していたら講習を受けられず免許失効してしまうところだった。
高齢者講習は有料で私が受けた教習所は9000円かかった。ちょっとした違反金のような金額だが、まぁ仕方ないとしてまずは視力等の適正検査を受け、簡単な座学の講習。そしてこれまでの更新と異なるのは実技講習があったことだ。教習所内のコースを試験官の指示通り運転するのだが、この結果は合否に関係ない。結果の報知もなにもなく、終わって待っていると高齢者講習の終了証明証が手渡され、後日免許更新センターで書き換えを滞りなく終えた。後期高齢者(75歳以上)になると、3年以内に違反歴がある人は運転実技が技能検査とされ合否判定されるほか、認知機能検査もあり、これをパスしなければならないようだ。
歳をとるとこうした必要な負担は仕方ないことだが、一方で社会には高齢者を優遇する温かい措置もたくさんある。「シルバー」が60歳以上か65歳以上か使われ方によって定義は明確ではないが、振り返ると私たちの世代で60歳になった時、世間の優遇措置は映画館の割引(当時代金1000円)と一部ファミリーレストランの5%割引くらいしかなかった。年金支給が生年によって男性は60歳から65歳へ段階的に移行する時期で、60歳は高齢扱いされなくなった時期だったのか。65歳になると介護保険料の支払いが増えた一方、生活環境のなかで社会的な優遇がたくさん出てきた。私の住む江戸川区では銭湯料金の半額パス、マッサージの割引券支給や保養所施設の利用大幅割引を実施。東京都民は小石川後楽園ほか都内のいくつかの庭園入園料が半額になった。また会員制だが旅好きの私にはJR東日本の大人の休日倶楽部ジパングの乗車券3割引もメリットが大きい。70歳では国民健康保険の受診料が3割から2割に減率したほか、都民には都内のバス/都営地下鉄が1年間1万2000円(非課税者と一定額内の納税者は1000円)で乗り放題のシルバーパスが買えるようになった。
私たち高齢者にこうした優遇措置は助かるのだが、もう一回り大きい目で日本を見ると構造化した人口減少と少子高齢化の傾向は変わらず、この2~3年の円安と物価高、日本の財政事情や国際情勢など考えると今後についてあまりよい材料がなく、余生あと10年、20年とはいえ不安がないわけではない。そんなこともあり、生活の余分な面を削り、終活を始めた。
これは数年前だが乗る頻度が大きく減ったマイカーを処分し、カーシェアに切り替えた。カーシェアとはサブスクによるカーレンタルで時間単位(最短15分)の使用料を払うだけで、ガソリン代、普通の保険代は不要。車庫拠点は家の近くに数か所あり、従来の車本体の代金、車検代、車庫代、保険料、メンテナンス労力など考えるとコスト面、維持面で大きな効果があった。いま進めているのは本の処分だ。現役時代にため込んだ本の数は天井近くまで高さがある本箱が5つ。まず長年購読し相当数ある趣味の雑誌類から処分に着手。愛着はあるが既に何年、モノによっては10年以上開くことなく本棚に飾ってあったものだ。これを2種類処分したらかなりスペースが割けた。次は単行本で専門書、好きな作家の小説・思想書、歴史書、芸術関係、ガイドブック、地図など仕分けているが、デジカメ以前に撮った写真のプリントもばかにならない。ポケットアルバムで本棚に簡易置きしており、選別中に思い出に浸って見ていると、時間がかかってなかなか作業が進まない。本以外では服の処分もある。夏冬合着とあり、ビジネスマン時代からのものもある。サイズが合わなくなったものは優先的に捨てられるが、それ以外だとまだ思い切って腹を括る覚悟ができず、後回しになっている。
最後は遺言書だ。大した財産はないので簡易でよいのだが、一応法律面は整えるべきと区の弁護士相談を受け、これから取り組むところだ。一線をリタイヤして暇な老後になったようだが、現実はなかなかやることは多い。(了)